Read me 激情

しがないゲーオタ女子の真・闇ブログ

誰かの人生を体験するゲームたち

もうあっという間に6月だよ!! ああ、季節がまた駆け足で変わっていく……。

 

PS4ゴールデンウィークセールで、360版で遊んだ『ウルフェンシュタイン』がたったのワンコイン、100円ぽっちで売っていたのを即買いしたのがついこの前と思ったら、もう次のセールが始まってるし、しかも今日のE3ベセスダショーケースで続編が発表されちゃったでないのー。ヤバい。そして長いこと待ってた『Cuphead』もついに発売日決定して、この秋冬はこれ以上やりたいタイトルがかぶってリリースされないでくれーと願うばかりだ。とりあえず続編の予習&復讐のため、ヒャクエンシュタインの続きをやりながら待とうかなー。

youtu.be

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とか言ってる間に、PS4の大作セールで『Fallout 4』が2000円未満で売ってたので、遅ればせながらとうとう買ってしまった。んで早速キャラメイクから始めたんだけど……

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試しに自分そっくりのアバターを作ったら、今の髪型まんま(前髪ぱっつん前下がりボブ)のヘアスタイルがあって、予想以上に似てしまいキモくなった。しかも隣にいる旦那(男性キャラ)がいちいち「いいね、かわいい瞳だ!」「その顎に惚れてしまったんだよ」とかベタ褒めしてくるのでさらにキモい。でも、まあ……悪くないわね。悪くない!(パーツ決定時、実際に自分へ言い聞かせるようにこう喋る)

こんな具合で男女キャラメイクをいろいろと試してるうちに、ついうっかり男性キャラで決定ボタンを押したら、自分そっくり女性は男性キャラの妻役となってそのままストーリーが進んでしまい、間もなくしてあっさり死んでしまった。なんか自分と同じ顔のキャラが目の前で死ぬのを見ると、何とも言えない気分になるね……。今回は基本的に主人公は男性固定で、男女どちらかは選択できず、MODで女性キャラにしたりして遊ぶのだと後々知った。そういえば、今回の『Fallout 4』は、『3』のようにVaultで生まれ育つスタートでなく、赤ちゃんのいる男女夫婦って設定からのスタートなのも意外だった。前作ではFallout世界の人生を赤ちゃんからスタートさせられたので、荒廃したオープンワールドへ自己投影する感情移入がしやすかったが、今回はパパ(あるいはママ)となって、誘拐された赤ちゃんの息子を取り戻すのが目標っぽいので、新米パパがんばってねーという一拍置いた距離感だ。寄り道が多すぎて赤ちゃん育っちゃって会える頃にはデカくなってそうだけど。

 

で、ふと気づいたのが、最近ゲームで、誰かの人生を体験する機会が、なんとなく増えてるのかなーと。ついこの間、こんなフリーゲームに出会ってそんな思いに駆られた。

seeminglypointless.itch.io

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『You Must be 18 or Older to Enter』。90年代のダイヤルアップ時代、家族が留守の間に部屋でひとり、エロサイトを覗くあの緊張感を追体験できるゲーム。“あの”と言われても、女子である自分にはそんな体験は特になかったので正直分かりかねるが、当時のインターネットには、見ようと思えばエロいものが見放題の未知なる世界が……エロ画像が表示されるのを、茶室でお茶を点てるのを待つかのごとくじっくりと見つめる、ドキドキなシチュエーションは何となく想像はできて、それをゲーム化してしまった発想が素晴らしいなーと感激した。もはやXvideosやカリビアンコムに殺されてしまったような密かなドキドキ感、果たして今の若い世代も抱き続けているのだろうか。しかしこのティザートレーラーは最高だね。誰もいないけど、つい背後を振り返りたくなるよ。

 

wired.jp

『That Dragon, Cancer』。少し前のタイトルだが、これも気になった追体験ゲーム。BS1のドキュメンタリー番組でもゲームが完成するまでのいきさつを垣間見て、テーマの重さに色々と深く考えさせられてしまった。現実でもゲームでも、息子の癌をやっつけて退治してグッドエンド、というわけにはいかないのだ。ただの映像ドキュメンタリーであればよくある話かもしれないが、この体験をゲームにして他人にも体験させることによって、さらに共感を強められている。自身の人生体験をゲームにしてしまう発想に、ゲーム制作者の業や性(さが)も感じてしまったり。

 

誰かの人生を体験するゲーム、それこそVRゲームがいよいよ台頭となってゆくのかもしれないが、映画の主人公になれたり、激しくダイナミックなアクションを体験するのでなく、もっとより一層パーソナルな、超個人的ドキュメンタリーがゲームで体験できるようになれたら、楽しいとか面白いの評価レベルでなく、人生コンティニュー感……あの日あの時の誰かや、誰かになりたかった/なれなかった自分が、少し報われるのかなって気がする。まあ報われても何かあるわけでもないけども。たとえ誰かの人生を追体験しても、何も残さないし残らないのも、ゲームだからいいのかなーと。

毎日忙しく過ごしてるけど、こうして時々は、どこかの誰かの人生に少し思いを寄せてみてもいいよね。そんな感じ。

 

追記:

『Emily is away』もなかなか素晴らしい人生追体験ゲームなのだが、こっちは最近出た続編も遊んでから、改めて書いてみたいなーと思った。ちなみに自分はAOLメッセンジャーよりもICQ派だった。アッオー。

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このレビューも最高なんだよね。「どうしてあのとき……?」って切ない気持ちが、いつまでも胸に去来してくる。

jp.automaton.am

 

訊かせてよ、あなたの20年のヒストリーを。そして未来を

ちょいと私信になるが、個人的にすごいリスペクトしてる、とあるゲームブログの方から「先日の暁天礼讃ブログ、とてもよかったです」とメッセージをいただき、スーパー恐縮&感激してしまった……いやーありがたい。長年スタイルを変えず定期的に更新しているのを心底尊敬しているゲームブログなので、ヒッソリと見習いつつゲーオタブログを続けてゆきたいと思った次第です。今後もどうぞよろしく。


つい先日、『ToHeart』20周年を迎えてざわめく人々がタイトルについて語るのをネットで目にして、何かにつけて“〇〇n周年”って区切りというのは、ユーザーやファンである自分自身のただひたすら老いていくばかりの人生と、年月を重ねてもいつまでも永遠の若さを保ち続けるコンテンツとの時系列関係と、つくづく密接してるんだなーと感じてしまった。あと映画や漫画、アニメよりもゲームのほうが、プレイ原体験によって時間の重みをより一層感じてしまう気がする。たとえば年号や西暦と当時やってたゲーム&思い出がリンクするみたいなアレだ。

かくいう自分も、主に過去のゲームにおける“〇〇n周年”ムーブメントとやらに、ある程度乗っかったりビジネス面で加担したりしなかったりで、ついこの前“〇〇n周年”を祝ってたのが、いつの間かすでに5年も10年も経っていることに驚愕したりするのもしばしばある……で、ふと思ったのが、n周年を機会に、タイトルに対するみんなの思い出を聞くのもいいのだが、今はもっと、ごく個人的なエピソードというか、タイトルと寄り添っていたあの頃の自分だけの思い出、つまり個人的ヒストリーやドキュメンタリーのほうがもっと聞きたいし、絶対に面白いハズだし、断然興味がある。

 

なぜそんな考えに至ったかというと、先日ある探し物のため、実家の倉庫を探っていたところ、およそ20年ほど昔のスナップ写真やアルバムがたくさん発掘されたからだ。そう、まさに『ToHeart』がリリースされた頃の。

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ほんの一部だが、手元に持ってきた。96〜98年、2002年頃の、街の写真屋でもらったポケットアルバムや当時好きだったハローキティのアルバムに雑に入ったままの、主に飲み会やイベントでの自分の写真たち。少し前だったら、もう絶対に二度と目にしたくない、すべて燃やし尽くしてしまってこの世から存在を消したいくらい恥ずかしくて仕方のない存在だったけれど、およそ20年近く経ったいま見返してみると、なぜかすんなりと向き合えてしまった。もしかしたらここ最近、ブログなどであらゆる思い出を回顧したりしてる都合で、ちょうどいいタイミングで実際の写真を目にして、改めて記憶の再確認ができてむしろよい機会だったのかも。

というわけで、みんなやあなた、誰かの20年のヒストリーを聞きたいかわりに、人様に見せられるレベルだけになるが、自分も20年ほど前のスナップ写真とともに、超個人的ヒストリーをざっくり語る。なお、事務所の方針でネットに顔出しNGなので、顔部分はMiitomoにて加工させてもらう。

 

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97年11月、編プロ時代、DTPデザイナー2年目の職場にて。ナマイキに気取ってるなー。写真では茶髪だけど、髪も青や緑に染めたりもして自由な社風だった。あとこの頃はメガネをかけてなくてタバコ吸ってた。フロア全室喫煙って今じゃ絶対に考えられないよね……。以前書いたエントリーのフランス人の同僚もこのフロアだった。デスクにあるPower Mac(たしか7600あたり)やエヴァ缶コレクションが時代を感じる。スタッフが会社近所のam/pmで大ブームだったチョコエッグを買いまくって、チョコだけ余りまくったのをよくもらって食べてたり。この頃、ゲームは主にレースゲーばかり遊んでたけど、仕事(攻略本制作)以外ではあまりやってなくて、フランス人同僚の影響で、Image ComicsやTop Cowなど新鋭レーベルのアメコミに夢中だった。

 

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96年10月頃のイベント写真。編プロのえらい人から「ホビー系フェスで出展するからコスプレしろや!」と命令され、なぜかある劇団の舞台衣装を着せられて売り子をやることに……。多分生まれて初めてのコスプレかも。他にもワンフェスでパワードスーツ衣装を着せられて売り子をしたことも。ゲーム誌のバカネタ記事で体操服やナースのコスプレして、フリー素材みたいに何年も載っていたこともあったり。ヨゴレ仕事ってやつですかね。

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会場にかっちょいいスポーン様がいたので記念撮影。そういや会場内ではバットマンの超完璧なコスプレした桂正和が歩いてた(誰も気づいてなかったっぽい)。どうでもいいけどこの写真を加工するために、Miitomoのショップでコスプレでかぶってるのと似たような黒のシルクハットを探したが、見つからなかったので黒のパナマ帽を購入してかぶせた。自分はいったい何をしているんだろう……。

 

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時は飛んで2002年3月、広告デザイン会社時代の社員旅行、サイパンにて。同僚たちと夜中、サイパンの妖しい繁華街に繰り出し、ロシアンパブや大人のおもちゃ店を冷やかしたりした。Miitomo顔で隠しちゃったけどまだタバコ吸ってて、この頃からメガネをかけてた。カバンの口が開けっぱなしは今も変わりない。編プロ時代からヒステリックグラマー好きのヒスっ子で、このTシャツもまだ持ってるけど、今着るとムチムチに広がってしまう……痩せててお金に余裕があったからヒスを着られたんだなー。この頃は仕事がめっちゃ忙しすぎてゲームはあんましできず、友人宅へ転がり込んだ際におすすめゲームを遊んだり、仕事柄、漫画ばかり読んでた。しかしこの半年後、その後の人生をすべて変えさせられたゲームキューブ版『PSO EPⅠ&Ⅱ』が出ようとは……。

 

以上、ざっくりと超個人的な20年前スナップ写真&ヒストリーでした。実際のところアルバムには、ここへ絶対に載せられないような醜態晒しまくりなスナップで溢れているのだが、どれもベロベロに酔っ払った飲み会やはしゃいだイベントの写真ばかりなのでどーしょーもない。迷惑顧みず、男女構わず抱きついたり絡んでたのに、どれも苦笑いの表情ばかりな周囲のみんな、とても優しかったんだな……ありがたい。そして今さら謝っても遅いけど、ごめんなさい。

しかしよくもまあ、当時の自分、あらゆるシーンで写ルンですを手に写真を撮りまくってはマメに現像してたなぁと、我ながら感心する。今となっては大変貴重な、当時の時代や空気感がパッケージングされたスナップ写真ばかりだから。先日ちょうど編プロのOB会に誘われたばかりなので、今度アルバムを持って行くかな。とはいえ本気でこの世から抹消させたい写真も多々あるので、どこか人気のない僻地でコッソリと燃やしてしまいたい。マイ焼却炉欲しい!

ところで今回これを書いてて、大好きな『レイジレーサー』も20周年を迎えてリミックスアルバムがリリースされたり、『リッジレーサー』の音楽フェスが開催されたり、なんだかすげーお祭り状態に気づいた。ヤバい! アルバムは速攻予約した!! レイジレーサー20周年おめでとうー!!!!

sweeprecord.com

t.livepocket.jp

 

こうして昔の若かりし頃の写真を目の当たりにできるようになったのは、とある機会をきっかけに、20年ほど前の過去をフラッシュバックのように振り返る体験があり、そういやあの頃の自分ってどうだったっけ……? と辿っていたら、結果的に、歳を重ねて心境の変化がいよいよ去来し、20年経った今になって、やっと昔の自分と向き合えるようになったのが非常に大きい。というか2017年のまさしく今が、人生の軽い折り返し地点、20年を起点とした一区切りなんだろうなーと実感する。ある意味、成人式パート2みたいな。年寄りくさいかもしれないが、いつまでも大人になんかなりたくない今の自分が、かつて本気でそう願ってがむしゃらに、無邪気に生きてきた昔の若い自分を、あーこいつ若いなぁ、イキってるなーと、ついに冷静に客観視できるようになってしまった、そんなお年頃。

 

これを読んでいるみんなは果たして、どうなんだろうか。

だいぶ恥ずかしくてブザマでカッコ悪かったけど、自分はやっとこの20年のヒストリーと、真っ正面から向き合えたよ。未来を、次の20年を生きるために。

 

みんなの20年ヒストリー、そして未来も、よければぜひ訊かせてほしい。

 

今日誕生日なのに寝込んでるヤーツー

月曜夕方からどうも体がだるいなー、と思ったら高熱が出て、次第にノドの奥に白い斑点ができて痛くリンパ腺も腫れてきたので耳鼻科に行ったら、急性扁桃炎と診断された。そんなわけで、今日はせっかくの誕生日なのにひたすら寝込んでる。

昨年の今頃は、大好きな大相撲観戦に連れて行ってもらう超サプライズ誕生日プレゼントがあったのに……。つ、つらい。しかもまだ微熱や頭痛が続いてるしー。仕事や用事も溜まりまくりだけど、ただひたすら安静にして回復するしかない。

 

誕生日や誕生月になると、あらゆるネットサービスからお誕生日おめでとうメールが届くのだが、任天堂からプラチナポイント300あげるよメールが来たので、ログインがてらしばらくやってなかったMiitomoを起動してみたら、自分のMiiにお祝いされた。

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お前が俺で、俺がお前で……!? と一瞬アイデンティティークライシスに陥りそうになったが、たぶん体調が悪いせいかも。しばらく起動してると、数人のフレンドからお誕生日祝いの伝言が届いた。1ヶ月ほどご無沙汰してたのに……ありがたい。日付が変わった瞬間にお誕生日お祝いメッセージとか来ると、最高に嬉しいよね。

 

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寝込みバースデーとなってしまい散々な一日だったが、家族からお洋服のプレゼントをもらった。わーい。最近オシャレに目覚めてるのでコーディネートが捗る。

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さらに、ノドが痛いのでのどごしがいいもの……プリンとかが食べたい、というリクエストにも応えてくれた。成城石井の高いフルーツプリンとマンゴージュレプリン。うれしー。寝る前なのに全部たいらげてしまった。

 

しかしもう誕生日を祝うってほどの年齢ではないのだけども……ちなみにここ20年以上、自称“永遠の14歳”を通していて、毎年「エヴァパイロットになれるね!」とめでたがっていたが、いつまでこんなことを続けていられるのやら。とにかく健康が一番だと痛感した誕生日だった。皆様も、どうかくれぐれもお体をお大事に。

暁天礼讃 ―空が白んでくるまでしたい、アレコレ話―

早いもので、もう今年も5月半ばをとうに過ぎてしまい、気づけば日も長くなり、夕方には外から夏の匂い(海が近いので厳密には潮くさい)がただよってくる。近頃は、空がまだ明るい夕暮れに日の長さを実感することが多く、以前は早朝に起床したり、徹夜やオールナイトしてると夜明けが早くやってきて、日の長さ=夜の短さを実感する機会のほうが多かった気がする。

先日もSteamゲーミングの件で少し書いたが、それほどまでに、夜ふかしの機会も失い、夜起きていられる生活環境でなくなってしまった。好きな2大深夜TV番組に「月曜から夜ふかし」と「タモリ倶楽部」があるが、いずれも毎回リアルタイムでなかなか見られないため、録画で見てる始末だ。

 

そんなワケで、夏も近づき夜も短くなってきたので、夜明けを惜しむようにゲームとか映画とか本とか趣味に嗜んだり、気の合う誰かと一緒に過ごすとかで夜ふかししたい……ってよりも、夜通しで何かに夢中になっていたい、そして空が徐々に白んできて、儚く美しい朝焼けを眺めていたい願望が、いまとても強まっている。つまり、暁(あかつき)を礼讃したい。ゲームしまくってたらいつの間にか朝になってたってのも最高だし、昼夜の時間概念があるゲーム内でウロウロしてたら明け方になっちゃうのも大好きだ。昼と夜でエンカウントできる敵が異なるのもいい。

今回は、ゲームとあまり関係ないネタばかりになりそうだが、仕事で完徹して気づけば朝という最悪シチュエーションは一切除き、これまでの過去にどんな夜明けが印象的だったかを、書き綴ってみようと思う。

 

J-WAVE「Still Life」と課題と過ごした暁

20数年前、美術学校の専門学生だった頃の話。

課題の提出に追われて徹夜するときのお供は、J-WAVEの深夜ラジオ番組だった。前回エントリでも軽く触れたが、MC RYUの「Soul Train」や「Across The View」からの流れで、午前3時スタートの「Still Life」もよく聴いていた。オープニングテーマ曲の“After the Rain”が、深夜から早朝までの、静かでゆるやかに流れる時刻と雰囲気を象徴するようなメロディーで、今聴いてみても、課題制作に没頭していたあの頃と、番組エンディングを迎えて朝がやってくるあの時間帯を思い出させる。自分にとっては、永遠の深夜早朝のテーマ曲だ。なお肝心の課題は、いつも登校時間ギリギリで完成させていた。

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作曲者・宮浦清氏本人の演奏による“After the Rain”。オリジナルも好きだが、こちらのギターリフが素晴らしいアレンジも最高。

また、 前職の職場BGMでもJ-WAVEを聴いていて、2002年頃にメジャーデビューで存在を知りファンになった、5人組の侍ジャズバンド「PE'Z(ペズ)」の“Akatsuki”も、まさしく曲名を呈するように最高にイカす夜明けのアンセムだ。こちらは都会の朝焼けを駆け抜けるような疾走感で、めちゃくちゃカッコイイ。解散しちゃったのが今でも残念。

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●深夜のテレビ映画たちとの密やかな暁

自分がもっとも好きな日本映画のひとつに「太陽を盗んだ男」(1979年/長谷川和彦監督)があるのだが、17年前の6月、ある土曜の深夜に地上波放映されると知り、ビデオ録画予約していたが、楽しみすぎて自室のテレビでリアルタイムで夢中になって見ていた。

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本作は中高生くらいの頃、たまたま付けたNHK衛星第2で放映されてたのを見たのが初見だったが、ビデオも出ておらず、あまりの衝撃にもう一度観たくなり、「ぴあ」でこまめに都内の単館上映をチェックして観に行ったほどだった。後年リリースされた、予約特典ポスター付きDVDはもちろん買った(ポスターは行方不明になったが……)。当時はジュリーの妖艶で中性的な美しさに夢中だったが、歳を重ねたいま見ると、ヘリから落ちても死なない菅原文太の滾る男の頑丈さに惹かれる。まーどっちもカッコイイわよねー。

念願だったテレビ放映が終わると、外はすでに薄明るくなっていた。劇中でいうと早朝のカーチェイスシーンくらいの明るさだった。映画の余韻に耽っていると、突然部屋のドアが開き、母が飛び出してきた。「赤ちゃん、無事に産まれたってよ!!」と叫びながら。

3歳年上の姉が、二人目の子ども(姪っ子2号)を早朝に出産したのだ。どうやら急に産気づき、産科へ向かう途中の車内ではすでに頭が出ていたらしい。二人目ってやっぱり早いんだね……と、夜ふかし中に突然の報せだったのでとてもビックリしたが、とにかく無事に産まれてよかった、と安堵した。そんな姪っ子2号も今では高校2年生となり、チアリーディング部に入部して筋肉隆々ガールとなり、彼氏もできて青春をエンジョイしている。

 

もう一本、深夜にテレビで観た映画で紹介したいのが、18禁映画になるが、「四畳半襖の裏張り」(1973年/神代辰巳監督)。学生の頃、実家で加入しているCSの映画専用チャンネルで、深夜帯に日活ロマンポルノが放映していたのを発見して、70年代のめくるめくエロチシズムの匂い立つ世界に、自分はたちまち密かに夢中になり、家族たちが寝静まったリビングで、こっそりと観ていた。特に気に入ったのは神代辰巳監督作品で、本作と「赫い髪の女」(1979年)は最高傑作だと思う。

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あれほどこっそり拝聴していた日活ロマンポルノが、気づけば今ではネット配信でも気軽に観られるようになっていた。細かい内容はあまり覚えていないが、情交シーンの合間に時折入る、若い見習い芸者のお稽古シーンで、タマゴを股にはさんで歩いたりなど、いわゆるシモの締まりを鍛える肉体訓練が、なんだか滑稽かつ鮮烈だった記憶が。当然だが、誰しも最初は駆け出し時代があるんだなーと感心した。

そして物語の終盤近く、主人公の芸者が遊び人の得意客と座敷で夜通し絡み合っていると、暗闇だった障子の窓が徐々に明るんできて格子がくっきりと浮かび上がり、場面が変わって朝焼けの海が映し出されるシーンが、男女の情愛を彩るようにとても美しく、深く印象に残った。オトナって朝が来るまでこんなエッチな事してるんだ……と思ったのだった。

 

●『逆転裁判』を一気にクリアしてしまった暁

話題がだいぶ偏りすぎたので、路線変更的にここでちょっとゲームの話を。

ついつい夢中になりすぎて、ゲームは完徹&夜明かしした経験は幾多もあるが、ひとりでじっくりプレイ、クリアしたら気づけば朝だったゲームで印象深いのは、ゲームボーイアドバンス版『逆転裁判』(以下『1』)。逆裁シリーズはリリース後しばらくしてから評判を聞き、追っかけで遊び始めたらまたたく間にハマってしまい、以後DSでのリメイク版も何度も遊んだ。リメイク版は出るたびに画面の明るさに驚いたなー。

『1』の最終話「逆転、そしてサヨナラ」のクライマックスで、狩魔豪への怒濤の追い詰めが始まると、止めどきも時間感覚も完全に見失い、翌日も仕事なのに一気にクリアしてしまった。小説を夢中で読んでいたら朝になったように、真夜中にひとりで携帯ゲームに没入して遊んでたら朝になってたのは、たぶん『1』が初めてだったかも。あの時の空は、頭の中のように真っ白だった記憶がある。以降のシリーズももちろん面白くて大好きだが、『1』のように朝まで没頭プレイはせず、翌朝に響かぬ程度にマイペースにセーブしながらクリアした。

 

●レインボーブリッジ、湾岸線から眺めた暁

2000年、田町のデザイン会社に勤務していた頃、徹夜仕事が終わるとタクシー帰宅(ちゃんと手当が出た)するのがわりと日常的で、終電を逃したあとに帰るときもあれば、始発が出る少し前に帰るときもあった。ある夜、いつものようにヘトヘトになりながら、大手広告代理店前に王蟲のように並んでいるタクシーに乗り込み、芝浦入口から湾岸線を走り出した。もう眠いし疲れてるし寡黙な運転手に当たってよかった……とシートにぐったり身を任せて到着まで寝ようとしたら、登ったばかりの朝日が、今まさにくぐり抜けようとしているレインボーブリッジを、オレンジ色に染め上げていた。

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ちょうどいい車載動画があった。進行方向は逆だけどその時に見たのとほぼ同じ、レインボーブリッジからの都会の朝焼けが綺麗に映されている。

カーラジオからは、いつか子どもの頃に聴いたことのある、静かな口笛のメロディー。実は曲名がいまだに分からないが、そのメロディーと目前にひろがる大都会の早朝の眺望の組み合わせが、なんだかとてもエモーショナルすぎて、自分はちょっと涙ぐんでしまった……ただアクビをかみ殺して涙が出ただけかもしれないが。夜明けはすべてのものへ平等に訪れるのだと感じた。

 

●夢の中で見た、あの暁

この体験と光景がよほど印象深かったのか、いつかこんな夢を見たことがある。

真夜中、東京にある高層マンション最上階もしくはペントハウスのような場所……摩天楼で、大好きな男性と、夜の大都会のライトアップを眺めながら濃密な一晩を過ごしたあと、男性のバイクに乗って夜明けの首都高、レインボーブリッジを駆け抜ける……って、なんだか現実設定完全無視な、女子の青春妄想大爆走な夢って感じで、書いててめっちゃ恥ずかしいが、いつか見た美しい朝焼けレインボーブリッジが夢にも現れてくれて、目が覚めたあと、とても嬉しく、気持ちのよい夢心地だった。またああいうスピード感と時間を感じられる夢を見てみたい。

 

以上、暁があまりにも愛おしすぎて、いつか見たあらゆる場面の暁たちがいつまでも忘れられなくて、儚くも美しいからこそ、半永久的に残したくて、ブログにしたためてみた。

現実ではもう朝焼けなんて、深夜早朝に出かける用事でもない限り見る機会はないが、たとえそんな用事でもひとつ作ってみて、また新しい暁を眺めたい。ここかしこで「早朝ウォーキングとか健康的でいいですよ!」って声が聞こえなくもないが……まあ、ひとまずそんな感じで。おしまい。

ゲーセンスナップ活動のススメ in 黄金週間

ゴールデンウイークも残りあと1日、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。自分はあと数日でまた齢を重ねる期待と不安に慄きつつ、せっかくの連休だし自分へのご褒美的お誕生日プレゼントだー! と勢いで買ったかわゆい夏服に似合いそうな、お手頃価格コーナーにあったターコイズのネックレスも追加してレジへ持っていったら、自分が想定していた価格の2.5倍くらいの値段だったので軽く凹んでます。値段表はよく見て購入しましょう。

 

前置きはこんな感じで、このゴールデンウイークはいわきの田舎へ二泊三日滞在し、1日目はハワイアンズに行ってきた。常磐ハワイアンセンターからリニューアル後に一度行ったきりだから、実に10数年ぶり。いまだにハワイアンズって名称が馴染めず、つい常磐ハワイアンセンターと呼んでしまいがち。

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これで開館直後の人出。さすがに連休、激混み。ウォータースライダーのでっかいのがもう一台できてて驚いた。本当に久しぶりに来たけど、どんなにリニューアルを繰り返していてもなぜか拭いきれない昭和感がすごい。自分は泳ぐのも温泉も大好きなのでゆっくり過ごしたかったのだが、同行家族が突然の急病やらスマホ紛失やらトラブル続出したため、昼過ぎにはさっさと撤収してしまった……残念。

※追記1:その後、家族の急病も無事回復して紛失スマホも係員に拾われて手元に戻ってきた。よかった……!!

しかしハワイアンズへ行く前に、ある読者から「館内のゲーセンにレトロゲームがあったら教えて!」というリクエストをもらっていて、このまま引き下がるわけにはいかぬと、トイレに行くついでにゲームセンターを探した。

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うおーゲーセンあったー。しかし開館直後で子ども向けショーの最中もあって客はまばら。なんだか水着でゲームを遊んでる光景が普段あまり見られないものなので妙に面白い。

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おおーこれかー!? 『ドンキーコング』と『パックマン』、『スペースインベーダー』が稼働中だった。いかにもって感じに取って付けたようなテーブル筐体だが、ここにレトロゲームがあるってだけでもありがたい……どうっすか、レトロゲームちゃんとあったよー。

※追記2:読者さんが写真を見たところ「モニタが液晶化されてるので、もしかしたらレストア筐体なのでは?」とコメントをいただいた。ぱっと見だけどやたら綺麗だなーと思ったら。

 

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スイッチ版が好評発売中の『マリオカート2』対戦台をはじめ、都内ではあまりお見かけする機会のなかった『ルイージマンション』のアーケード版も置いてあった。筐体の存在感があってひときわ目立つなー。ひとまずハワイアンズのゲーセンはこんな感じ。ちなみにかなり急いで撤収したため、ひとつも遊べなかった。次来るときはまたテーブル筐体やルイージに会えるかな。

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いわき滞在2日目は、フタバスズキリュウ(フタバサウルススズキイ)発掘の地で知られる「海竜の里センター」に行ってきた。無料の施設で、観覧車やコースターなどのちょっとしたアトラクションが一回100〜200円で楽しめる。ドラゴンコースターに乗ったら、年甲斐もなくめっちゃ絶叫してしまいちょう楽しかった。

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施設内の食堂の向かいに、こいつが佇んでいた。『ジャンケンマン福引き』……え、福引き? ただジャンケンするだけでないの? 何だか気になったのでワンコイン入れて遊んでみた。ジャンケンに勝つと前面にあるレバーをつかんで福引きのガラガラを回すことができて、大当たり、当たりが出ると景品が出てくるシステム。2度勝って当たりを2度引いたら小さなスーパーボールが出てきた。小さな家族にあげたが、すぐ無くされた。厳密にはゲーセンではないが、通りがかりについ足を止めてしまう点においては、ゲーセンとしての機能を立派に果たしているのではないか。

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観覧車からの眺望。このフタバスズキリュウ、中に入って尻尾のロングすべり台で降りられて、子どもたちに大人気だった。フタバスズキリュウもまさか自身の体が子どもたちの遊具にされるとは思ってもいなかった未来だろう。この近くにある、いわき市石炭・化石館「ほるる」では実物のフタバサウルスやクビナガリュウの化石が見られるので、そっちもオススメ。

 

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最終日、いわき駅で出発まで駅ビルで時間つぶしをしていたら、以前は空きテナントだった場所がクレーンゲームがメインのミニゲーセンになっていた。中を覗くと、かなり年季の入ったクレーンゲーム機やアストロ筐体の『メタルスラッグ5』『ミスタードリラー』が稼働していた。いやー頑張ってるねぇ、偉いよ。田舎の親族との別れを惜しんでたので、プレイできる時間を取れなかったが、次来たときは親族も一緒に遊ぶくらいの余裕があるといいな。

 

以上、今回のゲーセンスナップ活動はこれでおしまい。旅先でもついついゲーセンを探してはついつい遊んだり撮っちゃったりは、まだ続く……というか誰か、もっと続いてくれ!

大事な音楽はすべてゲームが教えてくれた【レースゲーム編・後編】

前回のエントリ、おかげさまでブログ開設以来初めてのアクセス数と大反響で、なんと『リッジ』シリーズの作曲者である大久保博さんのお目にも触れてしまい、めっちゃ嬉しいやら恥ずかしいやら……こんな神も悪魔も降り立たぬ荒野のような僻地ブログ記事をご覧いただき、ありがとうございました!

 

そんな感じで、自分のブログは意外にも誰かに割と読まれてしまっているのと、ゲーム音楽ネタは読者の食いつきがかなりよいと気づいてしまい、ちょっとしたプレッシャーを感じたりもしてるけど、ここは自由気ままに自分勝手にできるマイブログなので、いつものテンションで続きを書いてみる。


前編では、レースゲーム×テクノ音楽との出会いについて綴ってみたが、今回は「レースゲームは最高のドライヴコンピレーションアルバムだ!」をテーマに語ってみたいと思う。

 

Wipeout』や『リッジ』シリーズで、すっかりレースゲームのとりこになってしまった自分が次に出会ったのが、『バーンアウト3 テイクダウン』(2004年)だった。
友人宅で、これすっげーおもれーんだよーと勧められて遊んだのが初めてだった。ライバル車をクラッシュ=テイクダウンさせる斬新なシステムに、これまでの速さとテクニックを競うレースゲームの概念をすべて覆されたような衝撃を受けて、すっかり夢中になってしまった。
さらにBGMが、ゲーム内の架空FM局による新旧ミックスのパンク、メロコアオルタナティヴのバンド中心のイカす選曲で構成されていて、めちゃくちゃシビれた。悪ガキソング大集合って感じでイイヨネー。架空のFM局ってなんだよー、もう最高のアイデアじゃん!
Crash FMのDJ担当であるMC RYUのカッチョイイボイスも、当時深夜によく聴いていたJ-WAVESOUL TRAIN」でかなり聴きなじみだったのもよかった。先日リリースされたばかり(プレステで最も好きなゲームなのでもちろん買ったさ!)の『パラッパラッパー』のタマネギ先生でもおなじみだよね。

 

バーンアウト3 サントラ - Google 検索

おそらく権利関係などの都合でサントラは出ていないようだが、ほんの数年前までは収録曲リストを収集するだけでもひと苦労していたのに、今では上記のようにググると、なんと収録曲情報が自動表示されて、テクノロジーの恩恵に感激した。ありがとうテクノロジー

Burnout 3: Takedown soundtrack - NFSSoundtrack

より見やすい正しいトラックリストはこちら。このサイト、レースゲームのサントラをだいたい補完しててスーパー最高なので以下引用する。

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収録曲では、ジ・オーディナリー・ボーイズの“Over the Counter Culture”が特にお気に入り。収録アーティストでは、ラモーンズ、Ashが特に好きだった。Ashは90年代ブリットポップ全盛期の頃、ちょうどシーンから鮮烈デビューしたのも衝撃的だった。収録曲でないけど“Goldfinger”が、聴いてた当時の空気感とか思い出せて、甘酸っぱくて好き。

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レースゲーム×ロックの融合というと、『クレイジータクシー』のオフスプリングでヤーヤーヤーヤーヤー!するってのが鉄板なんだけど、個人的に『バーンアウト』の出会いが先だったので今回は割愛。どっちかっつーとオフスプはクレタクよりもドラえもん空耳MADのイメージなんだよね。Flashなついー。今見るとさほど笑えないんだが、当時はオラサイトのスピルバンとか見て爆笑してたヨ……ってこのままいくとインターネット老人会トークになっちゃうので、さっさと次へ。

 

ナンバリング続編の『バーンアウト パラダイス』(2008年)では、オープンワールドシステムを導入したことによって、走るバックグラウンドやシーンによって曲を選んてみたりなど、音楽への没入感がさらに増している。『バーンアウト3 テイクダウン』に続くMC RYUのナビゲーターボイスも心地よい。昔放映されてたNHK-FMあさのバロック」みたいに、早朝ドライブにクラシックの名曲流せるのイカすー!

 

Burnout Paradise soundtrack - NFSSoundtrack

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やっぱタイトルにもなってるガンズの“Paradise City”が本作のすべてを物語ってていいよなー。アダム&ジ・アンツやデペッシュ・モードなどの80年代ニューウェーブ系アーティストも収録されていて、自分好みのジャンル曲がより多くなってるのもいい。


これは個人的エピソードになるが、自分の手元にある『バーンアウト パラダイス』のソフトは、9年前に交通事故で若くして不慮の死を遂げてしまった仕事仲間の所有ソフトを、ご遺族から形見分けで譲ってもらったもので、さまざまな意味でも非常に思い入れのあるゲームとなってしまった。しばらく夢中でやりこんだあと、360を起動して時折プレイしていたが、以前のエントリでも書いたように、このたびOneでも後方互換してくれたので、Oneでも連れてきた。

macgirl360.hatenablog.com

ソフトのほか、彼が愛用していたiPodも譲ってもらい、中身を見てみると、好きなミュージシャンの楽曲と並んで、セガタイトルやZUNTATAのサントラが数多く入っていた。遺品を整理したらZUNTATAファンクラブのカードも出てきたくらい、好きだったんだなぁと思った。きっとこのiPodをBGMに、大好きな車の運転をしていのだろう。彼がかつて溺愛していたレースゲームたちへの想いを馳せつつ、こんど久しぶりにiPodの電源も入れてみようかな。

 

話を戻して、最後はレースゲームとオープンワールド、そして音楽の関係がさらに究極進化した『Forza Horizon』(2012年)。元々『Forza』シリーズもイカすサントラ集ゲームだったけど、スピンアウトの本作では架空のカーレースフェスに参加するってストーリー設定が、フェス好きな自分にギュンギュンきたので即効買った。収録メーカーにホンダがあるのもイイ。

 

Forza Horizon soundtrack - NFSSoundtrack

まずはポーター・ロビンソンのオープニング曲“Language”にいきなりノックアウトされた。かっちょよすぎ! この曲でポーター・ロビンソンにすっかり一目惚れして、フジロックフェス2013やGAN-BAN NIGHTのライヴアクトを見に行ったほど。フジロックでこの曲がかかった瞬間、ゲームの世界に入り込んで完全にシンクロした気分になって、サイコーにハイになったね。

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最近彼とユニットを組んだ、Madeonの“Icarus”も、難攻不落の双璧アンセムだね。一緒にアニメPV作っちゃったり、二人とも重度の日本オタクすぎてやばい。

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主にEDM系が大集合した収録アーティスト、いちいち羅列するのがはばかられるほど、どれも超お気に入りすぎて本当に素晴らしい。前編で提唱した、レースゲーム×テクノにおける、究極の最終完成型サントラゲームだ。EDM入門編としても非常に聴きやすいし、これを読んでEDMに興味が湧いたら、アルバムを買う感覚でプレイしてみるといい。

 


以上、レースゲームと自分の好きな音楽についての関係は、ひとまずこれでおしまい。はースッキリした。前後編になっちゃったが、ほんとに長年書きたかったことなので感無量。レースゲーム編と銘打ったので、もしや他ジャンル編もあるのかなーと窺わせつつ、そっちは気が向いたら書くつもり。

ゲームとの出会いが、20数年来にわたってこれほどまでに、計り知れぬほど自分の聴く音楽へ影響を与えてきたのを、今回書き出してみて改めて気づいた。なんてったって「ゲームがきっかけ」ってのがいいんだよね。音楽に限らず、これから若い世代が出会う新しい世界においては、どんな未開拓ジャンルでも、いつだってゲームが入口になっていてほしいと願っている。さて、次はどんなゲームと音楽の出会いがあるかな。

 


【おまけ】

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このPV……『アインハンダー』っつーか『メタルブラック』つーか、すげー横シューっぽくないっすか? ビル街を横切るシューティングは名作!!

大事な音楽はすべてゲームが教えてくれた【レースゲーム編・前編】

ネットでテキストを書くにあたり、前々から自分の個人的音楽趣味についてしっかり書き留めたいなーっていう長年の願望があり、このたびマイブログを持ってついにその願いも叶えられるようになったのだが、ほかに書きたいことが山ほどありすぎて今までずっと後回しになりっぱなしだった。

ゲームやりたい&ブログ書きたい熱が再燃して更新をしばらく定期的に続けてたら、出力欲が少し治まり頭の中が空っぽになったので、最近はPC作業中に何となくiPhoneのプレイリストやYoutubeで好きな曲を流したりしてる……うちに、これはもしや、自分の音楽趣味についてのエントリをいよいよ書くワンチャンなのでは!? と思った。出力欲全然治まってねーし! とまあ、ここはゲーオタブログなので、好きな音楽とゲームの関係を、個人的思い出と織り交ぜてひとつ綴ってみたい。

 

昔、20年ほど前、編プロに勤務していたとき、同じフロアで働く同僚にフランス人男性がいた。やってる仕事はそれぞれ別々だが、同い年かつ同じマルボロを愛するヘビースモーカーで、流暢な日本語を使いこなし、ともに楽しく仕事をしていた。彼が仕事中、よく聴いていたCDが『Wipeout XL』のサウンドトラックだった。

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Youtubeリンクは、極力公式チャンネルを貼りたいポリシーなのだけど、今回だけは特例で。以下同。

職場には、いつも彼が好みのテクノやハウスばかり流れていて、時々ヒートアップすると華麗なステップで踊り出したりするのを眺めていたのだが、やっぱりヨーロッパ人だから血の根底に流れるテクノが特に好きなのかなーと思っていた。そんな彼のセンス抜群なチョイスで、もっとも衝撃的なアルバムが本作だった。初めて聴いたとき、あまりにもカッコよくて「これ、何の曲なの?」と尋ねると、最近出たプレイステーションのレースゲームの曲だよ、と教えてくれて、即、ゲームソフトを購入した。これが今後の自分の音楽趣味とゲームの関係に、大きく影響を与えられたきっかけとなった。

 

Wipeout XL』は、ビジュアルからゲームデザイン、そしてサウンドまで、何もかもが生まれて初めて体験する衝撃で、最高にイカすレースゲームだ。シグノシスとTDRデザイナーズ・リパブリック)による、ヨーロッパ生まれのエッジの利きまくったデザインに乗せられた近未来反重力カーレースにアンダーワールドプロディジーケミカル・ブラザーズをはじめとする超豪華テクノアーティストのコンピレーションアルバムが搭載された、まさに“聴くレースゲーム”。タイトーZUNTATAサウンドタイトルにもよく謳われるような、まるで「音楽CDアルバムに付属されたゲーム」の初体験が『Wipeout XL』だった。彼からは、本作にも参加しているダフト・パンクの「Homework」も教えてもらったが、こちらも永遠の名作だ。そういえば彼らもフランス人だったね。

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ゲーム中ではイントロのみで超定番だけど、収録曲でもっともアガるのがやっぱしコレ。2004年のエレクトラグライドで初めて生で見られて感激したなー。デザリパもゲスト出演してて。『Wipeout XL』サントラ参加アーティストはほとんどオールナイト屋内レイヴフェスで観たよ!(森高千里“臭いものにはフタをしろ”の「俺は10回ストーンズ観に行ったぜ」と同じ階調で)

 

同時期に、社内休憩室のゲームでよく遊んでたのがプレステの『レイジレーサー』で、同僚たちとタイトルコールを真似しながらプレイしてた。『レイブレーサー』とか『リッジレーサー』が先じゃないのかよって話だが、自分的にはこっちがシリーズ初体験。ドリフト苦手だったので車種はアージュばかり使っていた。

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こちらはデジロック系サウンドが多いが、どのチューンもアドレナリンが上昇する疾走感がすさまじい。“Mech Monster”と“Silver Stream”が特にお気に入り。

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リッジシリーズはゲームもサウンドもすごく大好きだが、やはり『R4:Ridge Racer Type 4』がすべてにおいて最高。OP曲“Urban Fragments”からの“Movin' in Circles”、“Move Me”がお気に入り。シリーズのサントラだと「リッジレーサーズ ダイレクト・オーディオ」をよくヘビロテしてた。今のバンナムパワーで42歳になった永瀬麗子を復活させられませんかね? 同じく齢を重ねてずーっと待ってますから。

件の編プロで、スポーツカーを乗り回す偏屈でサイバーなテクニカル担当の男性先輩がいたのだが、自分がR4大好きなんすよーと話したら、めちゃくちゃぶっきらぼうに「ほれ、コレやるよ! 聴け!」と、ゲーム音源を取り込んだ自作のサントラCDをプレゼントしてもらったのを思い出した。心なしか、ちょっと嬉しそうだったな。

 

このように、自分のゲームと音楽の趣味は『Wipeout XL』でエンジン点火、『レイジレーサー』をはじめとしたリッジシリーズでアクセル全開になった感じ。レースゲーム×テクノの融合って、ゲーム音楽史上最高の発案だよね。こうして振り返ると、1995年以降から90年代末あたりが、音楽ジャンル界においてちょうどテクノが主流になった時期というか、ゲームにもムーブメントが反映されたのだなーと改めて気づいた。

もしあの頃、フランス人の同僚が『Wipeout XL』サントラをフロア内でガンガンかけていなかったら、自分はレースゲームにも特に興味が向かず、ゲーム由来のテクノっ子にもならなかった。彼とは互いに編プロ退職後も何度か会って、ここ数年はお目にかかっていないが、あれからたいそうご出世して、今では世界的企業のお偉いさんとなっているようだ。このブログが彼の目に届く機会はおそらくなさそうだけど……君のおかげで、人生で大事な音楽とゲームに出会えたよ。あの時は、どうもありがとう。もっとも出世した自慢の同僚を誇りに思いながら、これからますますのご活躍を、遠くから祈っているよ。


レースゲーム音楽についてもう少し語りたいのだけど、長くなりそうなので後編に続く。