Read me 激情

しがないゲーオタ女子の真・闇ブログ

『Florence』――あなたが私にくれたもの

昨晩、PCに向かってブログを書くのが億劫だったので、寝っ転がりながらはてなブログiOS版アプリで記事をしたためていたら、ある程度書いたところで下書き保存しようと画面をちょっとスクロールをした途端、全文がっつり消える痛恨のミスを冒してしまい、布団の中で2時間ほど悶絶していた……1.5時間が、1000字以上が真っ白に~! せっかくいい感じ筆が乗って(筆なんてないのに)まとまってたのになー。がっくし。iOS版も下書きの自動保存機能付けてほしいよー。

あ、でも携帯キャプの写真アップだけは成功してたみたい。それと、一晩明けてみて、出力はできなかったが頭の中を整理してみたら、書くべき本質が見えてきたので、ただの書き直しでなく、書ききったもの以外の要点だけ述べることにした。

 

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Florence

Florence

  • Annapurna Interactive
  • ゲーム
  • ¥360

『Florence』。先日、このゲームを予約購入した。有料ゲームアプリを予約購入したのは初めてだった。ゲームニュースサイトの記事で、まずこのシンプルな線の絵柄に一目惚れして、リリースを楽しみにしていた。

2/14、バレンタインデーに配信開始し、お昼休みの1時間ほどで、あっという間にクリアした。ゲームというよりも、インタラクティブ絵本のような……自分の最近のテーマでもある、ゲームを通じて誰かの人生を体験できる作品としても、2018年、いまこの時代を生きる誰かの、どこにでもあるかもしれない、とあるビターな初恋ストーリーとしても、最高だと思った。とても良かった。

 

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ストーリーが進むにつれ、あらゆる場面でゲーム的要素が登場するが、選択を間違えたりどのようにプレイしても基本的にスコア概念もなく進行できるので、感情の趣くままに操作をしてゆけるのもよい。

本作で特に感心したポイントは、主人公フローレンス・ヨーと恋人のチェリスト、クリシュの会話の吹き出し=会話の組み立てが、出会った当初は形も複雑で数の多いピースだったのが、ふたりの距離が縮まるにつれて、次第に単純化してピース数も減ってゆくさまを表現している、言葉のコミュニケーションをパズルゲーム化したところだ。恋人とケンカになると、4枚目の画面のように吹き出しパズルの形も刺々しく変化する。たとえば漫画で、キツい言葉の吹き出しがキャラの胸にグサリと刺さる表現のような、言葉が刺さるとか言葉にトゲがあるとはよく言ったもので、言語を一切使わず、それらの形容を見事にゲームにしたのだ。

 

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食事シーンもなんだか楽しげ。主人公は寿司が好みらしい。パンとピザの耳を残しちゃうのが気になる。美味しいのに! あと、出会った頃よりもフローレンスの髪の毛が少しずつ伸びていくのも、時間の経過が分かっていい。自分もいまちょうど昨年から髪を伸ばしていて、ショートボブだった髪が鎖骨あたりまで届いたので、すごく理解できる。

 

出会ったふたりが、果たしてどのような展開になり、結末を迎えるのか……これ以上書くとうっかりネタバレになりそうだし、せっかくこれから素晴らしい体験を控えているかもしれない人たちにとても申し訳ないので、以下、つれづれなるままプレイ後の個人的所感に替えさせていただく。

 

『Florence』のメインビジュアルを一目見て、実際にプレイしてみて、昔読んだ絵本のことを思い出していた。

おおきな木

おおきな木

 
新装 ぼくを探しに

新装 ぼくを探しに

 
続ぼくを探しに  ビッグ・オーとの出会い

続ぼくを探しに ビッグ・オーとの出会い

 

シェル・シルヴァスタインの絵本たち。若い頃好きだったアーティストが勧めていた絵本作家だ。「おおきな木」は村上春樹翻訳でないほうの版を持ってたはずだが、実家に置きっぱなしだったかも……今度探してみよう。

『Florence』の絵柄が、シェル・シルヴァスタインの描くシンプルな線に似ているなぁ、と久々に思い出せたのだ。ゲームプレイ後、「おおきな木」の根底のテーマにも通じる何かを感じてみたりした。

思えばこれらの絵本は、かつて大好きで影響を受けた対象が、自分に与えてくれた作品だった。今はすでにもう、あの頃の熱は冷めてしまったが、時々こんなふとしたきっかけで思い出せるような、自分の中にしまってある大事なものだけは残してくれた。

 

ゲームの話からさらに脱線するが、ごく最近、同じく昔好きだったものを思い出し、再び手にする機会があった。

弾アモウ 1巻

弾アモウ 1巻

 

山本貴嗣の「弾(アモウ)」(全5巻)。20年ほど前、作者のファンだった親友が勧めて貸してくれて、痛々しくもアクション全開で闘うセクシーヒロインに、自分もすっかり夢中になった。単行本版は巻の途中で読みかけで、少し前にKindle版で全巻買ってたのを思い出し、再読してみたらやはり面白かった。しかし、以前単行本版で読んだときのあとがきが、なぜか省略されていた。たしか主人公の弾のモデルにした女性編集者をデッサンした時のスケッチが載ってたはずだが……? と、あとがきネタで、さらに記憶の糸をたぐり寄せられたのが、同作者の「夢の掟」(全2巻)。

夢の掟 1 (ジェッツコミックス)

夢の掟 1 (ジェッツコミックス)

 
夢の掟 2 (ジェッツコミックス)

夢の掟 2 (ジェッツコミックス)

 

こちらは原作付き漫画だが、作者の強いこだわりであるアクションがハードボイルドに描かれていて面白かった。本作も親友から借りて読んだのだが、最終巻がいつまでも忘れられない内容だったのを、「弾(アモウ)」のあとがき未収録ネタを通じて、突如思い出したのだ。本編も読み直したかったが、どうやらKindle版や電子版は出ておらず、しかしあの最終巻をどうしても読みたくなり、ネット通販で探しまくって単行本版を取り寄せてしまった。

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「夢の掟」最終巻あとがき。連載終了後に長年共にした愛猫を亡くした作者の悲しみが、終始綴られていた。本作について一切語られていないあとがきを生まれて初めて読んで、当時とても衝撃を受けた。この漫画、あとがきがすごいんだよ、と言って親友も貸してくれたのを覚えていた。

思い出の漫画、そしてあとがきを久々に読み直し、作者の悲哀を再び噛みしめていた。もし自分も同じ立場であったら、きっと同じように、本編そっちのけで愛するものへのメッセージを書いていたと思う。

 

漫画を貸してくれた親友も、時々どこかで近況を見かけるが、お互い直に会うことはなく、すっかり距離が遠くなってしまった。

これからの人生で、いくつこんな機会があるか分からないけど、かつて大好きだった、大切だったあなたたちが私にくれたものは、心のどこかにしまってあり、こうして何かのきっかけで時々は思い出して、引っぱり出してみているよ。そしてできれば、私にくれたものが、これからの人生で役に立れられるよう、がんばって生きてみたい。

 

――とまあ、ごく個人的だが切ないアレコレを、『Florence』は思い出させてくれた。いやはや、たった360円ポッキリで、すごい体験させてくれたよ。ありがたくて、尊い

そうそう、ゲームだけでなく、劇中音楽もとても素晴らしいので、ぜひサントラも聴いてみてほしい。ちなみにゲーム本編はイヤフォン装着を推奨されてたり。

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ところでSpotify、ついに有料プレミアム会員になっちゃった。だってZUNTATA楽曲がついに配信開始しちまったんだぜー。ゲームサントラを浴びるほど聴くなら、ぜひともプレミアム会員になろう!

 

ひとまず『Florence』については、こんな感じで。ほかにも新年ゲーム初めとばかりにいろいろプレイしてるのだが、追って書くことにしようかな。ああーしかし『Florence』について、誰かと語りたい。誰かまじでやってみてくれー。そして切ない初恋について、涙拭きながら語ろう!

明けてました2018

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とっくのとうに、明けてました。今年もゲーム障害な当ブログをよろしくお願いいたします。

 

月1更新目標を継続したいがためだけに更新するってのもアレなのだが、月末から、っつーか現在進行形でスーパーめっちゃ忙しい。しかも最悪なことに思いっきり風邪を引いてしまった。幸いインフル感染はしてないのだが、喉と鼻が弱くて風邪を引くとすぐに声がつぶれて副鼻腔炎になってしまう。実は今(現地時間1/30深夜)も熱と副鼻腔炎特有の鼻周辺痛が出ていて、寝る前にロキソプロフェンをキメたトコ。

先週末から風邪を引きはじめたのが月曜になり本格化して、熱あり体調超badな中、熱を出した家族の看病もしつつ、無情にも押しまくった仕事の〆切や納期がメタルぷよのように降り注いできて、特にヤバかった。あちこちからの追い詰められ感ハンパないプレッシャーが、若干精神壊れかけ寸前のようだった……あぶねー。こんな些細なことで絶対に壊れたくないので、たとえば受けてた仕事を減らしてもらうなどして、なんとか逃げきった。

あと1/28でフェレットのコッパの一周忌だったが、哀悼する余裕も暇もなかった……ごめんよコッパ。イヅナも旅立ってそろそろ二年目だよ。この季節は別れが多くてほんとやーねぇ。

 

そんなわけで、ありえないことに新年入ってからまだゲーム初めすらままならぬ状況に……あ、でもSwitchの『ストライカーズ1945 Ⅱ』は合間を見て買ったのだった。あとPS4の『ワンダと巨像』も通常DL版を予約した。モンハンワールドも、シリーズ全然やってないけどオモロそうだし、フレンドのみんながこぞってやってるからやりたいんだがなー。

とにかく、今の月末多忙と風邪地獄から脱出しないとゲームはおろか、日常生活すらどうにもならん。しかし自分ごときな風情がなぜこんなに忙しいんだ。っつーか毎隔月だけ特に忙しいスパイラルからそろそろ抜け出したい次第。

今も仕事のプレッシャーに押されつつ寝るのだが、厄介な風邪を回復させるには、もうとにかく寝るしかない。けど月1更新目標にしているブログだけはせめて更新させてほしい。

 

とりとめもなく、おわり。早くヒマになれ、風邪治れー!

2017年マクガ的音楽オブザイヤー

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おやすみなんかしていられねえ! ド年末こと大晦日がついにキターッ!!

実は今日の昼便で田舎へ帰省せねばならぬのに、またもや夜明け前に書き終えて予約投稿するつもりでブログ更新する。生きとし生ける者にたちすべてに死が平等に訪れるように、新年も平等に訪れてしまう。もはや我々に残された時間はナッシングなので、書きたかった音楽エントリもYouTubeリンクを貼りつつ要点だけザックリまとめて、激動の一年だった今年にオサラバして平穏に帰省したい。

 

今年は実家に死蔵していた何百枚もの音楽CD、物理メディアにサヨナラバイバイし、YouTubeSpotifyで音楽を聴きまくった一年だった。その中でも特に、新たに出会いファンになった、昔聴いてて再び聴くようになった、何度もヘビロテした、の3点に焦点を絞りピックアップしてみたい。もし気に入ったら、帰省やUターン時のお供にぜひどうぞ。つーか聴け!!

 

2017年マクガ的ブレイク期待アーティスト

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ふとしたきっかけで初めて聴いたThe fin.の「Night Time」にすっかりハマり、iTunesでアルバムも全曲購入。歌詞がフル英語なので、聴いた当初はイギリスあたりのバンドかと思ったほど、透明感のあるギターとシンセがちょっと懐かしい、UKドリームポップのような雰囲気がとても気に入った。今年のフジロックにも出演したようなので、今後更なるブレイクを期待したい。

 

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ドリームポップ関連でいうと、Chromaticsとの出会いが最高だった。最初はYouTubeサーフィンで80年代シンセポップ→Vaporwaveムーブメントから存在を知ったのだが、この新曲「SHADOW」で決定的にメッタ打ちに打ちのめされた。PVもビビッドな色彩や分割画面がデ・パルマカット風でよかった……といいつつ、彼らはどうやらデイヴィッド・リンチ監督のお気に入りバンドらしく、今年放映された新シリーズ「ツイン・ピークス The Return」の劇中でもライヴ出演している。

 

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同じく「ツイン・ピークス」新シリーズにライヴ出演している、女性三人組シンセユニットのAu Revoir Simoneもすごく気に入った。美しい才女3人がシンセとボーカルやってるってだけでも、彼女たちの曲も佇まいも……とにかく尊い。人生に疲れ気味のおっさんが突如アイドルにハマり多幸感を得たときの気持ちって、こんな感じなのかしら。

 

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Vaporwave系だと、Desireの「Under Your Spell」もすごく良くて毎日聴きまくった。ライアン・ゴズリング主演映画「ドライブ」のサントラにも収録されている。“あなたに魔法をかけられた=あなたのとりこになった”とリフレインする歌詞もいいし、“この気持ちは永遠に続くと思う? ーー神よ、そう願いたいね”というセリフもいい。そう、この気持ちは永遠に続くのだ。

 

2017年マクガ的20年ヒストリープレイバック

 

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CDインポート作業で数十年ぶりに聴き直してみたら、昔アレコレ聴いてたけど思い出せない曲があったなーとか、当時は数回聴いてそれっきりだったのが、数年経ていまの自分の好みピッタリに感じた曲などがいくつかあったのでご紹介。

 

AIRはエロな年 ~AIR année érotique~

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フランスのエレクトロデュオ「AIR(エール)」。デビューアルバム「Moon Safari」に衝撃を受けて、2001年のサマーソニック来日公演も観に行った。いま聴いてみるとものすごく映画的なムードBGMっぽいというか、実際にソフィア・コッポラ監督作品のサントラ担当もしてたりするのだが、こんなに70年代洋モノポルノや日活ロマンポルノのBGMみたいにエロかったっけか……と改めて彼らの良さに気づかされた。このあたりの曲が特に官能的でジュンとキちゃう。彼氏の部屋やラブホの有線でかかっていてほしい曲たち。

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布袋寅泰ミュージックスクエア」への感謝

昔買って聴いた大量のCDをインポート中、当時の思い出を振り返りながらふと思い出したラジオ番組が、90~93年にNHK-FMで放送されていた「布袋寅泰ミュージックスクエア」。BOOWYからの布袋ファンだった自分は、毎週木曜21時、CDラジカセに120分録音テープをセットして(同時間帯に「とんねるずのみなさんのおかげです」がやっててそちらを見ていたので、リアルタイムでは聴かず録音してた)何度もテープをリピートしてはかかった曲をチェックして、気に入った洋楽アーティストのCDを渋谷のタワレコhmvで毎回10数枚単位で買い漁った。

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そういえば当時買いそびれたけど、ぴあから番組の読本が出てたよな……とAmazonで本を探し早速注文した。オンエア曲ほぼ全リスト、読んでるだけでもワクワクするし懐かしい。布袋氏の曲紹介コメントまで鮮明に覚えていて脳内再生される。その後、録音テープは処分してしまったのだが、番組内でかかった好きなアーティストや曲名はネット検索で番組データベースをチェックしておおよそ把握できた。しかし今回、ネットの資料でも載っていなかった、あるアーティストと曲名を思い出せないものがあり、副読本の曲目リストと当時のオンエア記憶を辿りながら読んでみたら……やっと見つかった!!

 

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メモリーズ・オブ・ア・カラー

メモリーズ・オブ・ア・カラー

 

ティーナ・ノルデンスタム!(読本とネットでは日本語読み表記ゆれがあり分かりづらかった)うわーまた逢えて嬉しいよー。彼女はレオナルド・ディカプリオ主演映画「ロミオ+ジュリエット」のサントラに収録された「Little Star」がもっとも有名曲らしく、改めて聴いたらこの曲も知っていたのを思い出したが、そちらの映画曲とは記憶が全然リンクしていなかった。彼女の名前と曲名はど忘れしてたが、リッキー・リー・ジョーンズっぽいアンニュイな歌声がいつまでもずっと覚えていて……もう二度と忘れない! こうして思い出せなかったあの曲を思い出す体験って、何物にも代えがたい。エアチェックで出会った曲って、やっぱりいいよね。番組読本は、今後Spotifyのフォローアーティスト収集の参考書としても、一生モノの音楽教本になりそう。ありがとう、布袋寅泰ミュージックスクエア

 

キリンジと和解せよ

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以前のエントリでもちらっと書いたが、16年前にいた前職の職場でBGMにいつもJ-WAVEを流していて、当時特によくかかっていたのがキリンジだった。ちょうど「雨は毛布のように」がヘビロテされていて、上司や同僚たちがキリンジファンで、堀込兄と弟のどちらが好みか? みたいな話題で盛り上がっているのを、自分はよそ目に聞き流していた。

実は自分はあの頃、キリンジがあまり好みでなかった。ただ職場で半ば強制的にヘビロテされてるから、勝手に耳に入ってくるだけだからやむを得ず聴くしかなく……今思えば上司がキリンジ好きだから逆に気に入らない、という野暮な反抗心もあった気がする。

しかし16年後、今年になりある機会でキリンジをふたたび聴いてみて、今さらながらその良さと素晴らしさに、やっと、ついに、気づいてしまったのだ。まるで16年モノのウイスキーを舐めて嗜むように、キリンジを聴きまくった。ファンにとっては月並みかもだが、このへんの曲たちが特に響いた。

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LINEモバイルのCMで再び脚光を浴びた「エイリアンズ」。夜のバイパスや公団の屋根の上など、都会から少し郊外にあるベッドタウンの情景が心に浮かぶ。キリンジは他曲にもバイパスが登場するので、実はバイパスマニアなのかも。

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ふたたび聴くきっかけのひとつに、仕事中平日の昼にいつも聴いているTBSラジオの「ジェーン・スー 生活は踊る」の中で、番組ジングルや交通情報、相談コーナーなどのBGMをキリンジが担当していて、16年前にキリンジをやたら聴かされていたのを思い出して若干モヤモヤしつつも、番組のテイストによく馴染んだキリンジBGMに感心していたある日、名物コーナー「相談は踊る」で、お悩み相談の解答の代わりとして「Drifter」がかけられた瞬間、相談者でない自分がまるで諭されたような気持ちになり、言葉にならない感情があふれてきた。

「Drifter」は、愛の歌でも、別れの歌でも、人生の歌でもあり、聴く人の心情によってさまざまな解釈をできるのが、とても素晴らしいと思った。いまの自分の気持ちとしては、愛の歌に背つかれて、与えるより多く奪ってしまっているのだろうか……という葛藤を感じたりもする。おそらくこれから先の未来の節目に、何度も何度も聴きかえす、人生でかけがえのない一曲になりそうだ。いや、もうとっくになってしまった。長い時間や人生経験を経て、ついにキリンジと和解したのだ。16年前、あんなにキリンジを毛嫌いしてたのが信じがたい状況だけど……今さらファンになっても、いいですか?

キリンジの新旧の曲を聴いてみて、「Drifter」のような至極の名曲も好きだが、最近Spotifyで配信された冨田恵一冨田ラボ)との過去曲「乳房の勾配」のような、堀込兄の変態度を振り切ったドエロい曲もちょういいと思った。身持ちの悪い女たちのようにみなしごの蜜を指でなじるし、恥知らずな漲りに喉笛も鳴るんだよ!

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冨田ラボといえば、ハナレグミとの「眠りの森」、MAMARAID RAGの田中拡邦との「アタタカイ雨」もよかった。キリンジからいろんな好みのアーティストが手繰り寄せられるのすごい。キリンジファミリー万歳!

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MAMARAID RAGも職場BGMのJ-WAVEでよくかかっていて、当初キリンジと曲が似ていて混同してた記憶がよみがってバンド名を思い出し、ベストアルバムを購入して聴き直した。椎名林檎トータス松本の最新曲と同名な「目抜き通り」が特にお気に入り。あれからメンバー脱退を経て、現在は田中拡邦のソロユニット活動のようだが、喫茶ロック系特有の高音ボイスと大滝詠一が好きすぎるんだなーって感じがよい。あと「春雨道中」といい、「あたたかい雨」ってフレーズが多すぎやしませんか?

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2017年マクガ的ヘビロテしまくった曲

 

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ここにきてやっと、自分が最も好きなジャンルであるパンク/ニューウェーブ系アーティストの登場だが、いろいろ聴いていた中でも、今年はなぜかNew Orderの「Bizarre Love Triangle」を何度もリピートしまくってた。しかもあらゆるバージョンの。New Orderは楽曲の良さに反してライヴ演奏の超絶すぎるヘタさに定評があるが(やな定評だなー)、新旧どの時代の「Bizarre Love Triangle」を聴いてみても、やっぱりすげーヘタなのが最高。ためしに86年、98年、最新の2016年、各バージョンを並列してみた。

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もう何度もライヴ演奏しているはずなのに、このヘタさ加減は何なんだろう……数多くある演奏の中でも、実はこのアコースティックバージョンが一番マトモな気がする。すっかりいいおじいちゃんだが、今後もバーナード・サムナーの成長ぶりを見守りたくなった。

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紹介したいオススメ曲やアーティストがまだまだいっぱいありそうだが、気づけばまたもや朝6時になってしまったので、観念してこのへんで。やっぱり予約投稿になってしまった……新年明けてあとでごっそり直すかもだけど、やっと書ききったのでよかった。今年最後の有言実行間に合った!

今年のブログ更新も、これで本当におしまい。相変わらず、誰が読んでくれてるのかも分からない闇ブログだけど、一年間、お付き合いありがとうございました。新年2018年もゲームに音楽に、どうぞよろしくお願いいたします。

皆さんも、よいお年を~!

 

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2017年マクガ的GoTy(ゲームオブザイヤー)とIGD(いいゲームだった)

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前回は書き散らかし気味に2017年を無理やり統括ってみたけど、やっぱゲームのことは書ききれないっつーことで別エントリにした。こっちも書き散らかしモードになりそうだけど、とりあえず書く。おととい忘年会が終わったらゲームもブログ書きもできぬままいつの間にか30日になってて恐ろしい……年越しが来るぞー! 年末なのにヒマを無駄にもてあましてるのならば、クソ長いブログを読みながら震えて備えろ!!

 

■2017年マクガ的ゲームオブザイヤー『Cuphead』

 

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www.microsoft.com

store.steampowered.com

 

ヘタレすぎてまだ2面クリアすらできてないけど、もーこれでいいっしょ!? とにかく、よくぞまあ出てくれたよ。しかもつい先日200万本達成したじゃん。めでてえ。実にめでたすぎるー。ゲーム制作~完成に至るまでのバックボーンも「ゲームを作った男たち」みたいにカートゥーン化……いや漫画化してほしいくらい。

jp.automaton.am

 

そういえば、今年2度目のディズニー入場の件を書き損ねていたが、Cupheadプレイ前と後では、パーク内のオブジェもパレードも、すべてがCupheadナイズド視点にされてしまうほど、完全に影響を受けてしまった。ほら、トゥーンタウンはRunステージ、パレードなんてボスラッシュに見えなくね?

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あーもうマジでボスにしか見えねえ。ところでXbox One版のバグ修正ってもう済んでるのだろうか。冬休み中に2人協力プレイの再トライしたいところ。

 

 ■2017年マクガ的いいゲームだった『人喰いの大鷲トリコ』

 

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www.jp.playstation.com

 

『トリコ』は昨年末リリースのタイトルだが、今春にPS4本体と同時購入して一気にクリアしたのでノミネート。いつも思うのだが、どうせ一本になんて選びきれないのだから、今年リリース作と、今年初プレイした前年以前リリース作を1本ずつ、つまり2本選ぶって提案はいかがだろうか。近年は移植のタイミングがリリース翌年以降から、インディーズ洋ゲーが日本語対応で普及してから話題になるケースもあるから、ぜひそうしてほしい。つーか俺ルールで勝手にそうしよう。

 

僭越ながら、『トリコ』は初めてプレイした上田文人作品だったので、制作に至るまでの背景やエピソード、ゲームデザインの技術面などを、ネットメディアの上田氏インタビューや表現方法講演レポ記事などを片っ端から読み、自分なりに考察にしてみた。いくつかある中でも、このあたりが特に納得、参考になった。

 

jp.gamesindustry.biz

www.4gamer.net
entertainmentstation.jp

 

自分にとっての『トリコ』は、ゲームをプレイするというよりも、現実的な空気感をそのままに、絵本や寓話の世界に入りこむ体験に限りなく近く、そう思わせるようなギミックや表現は一体どうやって作られてたのだろう、と興味が湧いた。トリコの風になびく羽毛を表現するための巧妙なテクノロジーがリアルなファンタジーを生み出し、上田氏の「『アウターワールド』や『プリンス・オブ・ペルシャ』『フラッシュバック』のような、リアルな頭身のキャラが出てきてリアルに動くのが好み」という趣向は、現実的空気感を再現するうえでのキーワードにもなっている気がした。あと細かいのだが、上田氏が初回特典版『トリコ』の冊子で缶コーヒー好きを語っていて、上記のエンタメステーションのインタビュー写真を見ていたらBOSSの缶コーヒーがちらっと隅に写っていて、ホントに缶コーヒー好きなんだ……と感心した。昔、レッドカンパニーの広井王子氏がファミ通の連載コラムで自称コーラジャンキーを語ってたのを思い出したり。今でもコーラ好きで、国内で発売してるDVDを全収集してるのかな……。

あと、上田氏インタビュー記事ではこの対談が、個人的にとても嬉しかった。

www.famitsu.com

実は『INSIDE』も、昨年リリースだけど今年初めてプレイしたゲームで、『トリコ』と並ぶほどのIGDタイトルだった。いずれも言葉や名前のない世界をゲームで表現している稀有なクリエイターだと思った。『INSIDE』、潜水艦に乗ってある程度進んだところでストップしてるので再開してクリアしちゃいたい。でも夜プレイする怖いんだよなー。

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■そのほかやったゲーム Switch編

 

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本体同梱の『スプラトゥーン2』も『ゼルダBotW』もプレイしてみて、やはりすごいゲームで感心したし、特に『ゼルダBotW』は誰もがGoTyノミネートするのも納得だけど、他の人たちがすでに散々評価してるだろうし、超個人的体験としてはあまり響かなかったかなー。どっちかっつーとSwitchで彩京過去タイトルが突然移植されたのが驚きと感動だった。『堕落天使』とか『戦国』シリーズとか、今後もリリース期待しちゃっていいんすかね?

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マジョリア今見るとめっちゃエロい。縦画面モードもできるのが感激したなー。そういえば今年のTGSで開発会社のゼロディブが東北関連ブースで出展していて、試遊したらスタッフの方に福島と仙台にスタジオがあると聞き、東北復興のため頑張っているようで、自分も福島が田舎なのでぜひ応援したい次第。

 

 ■2017年やったゲーム Xbox One

昨年本体を買って以来、今年は別ハードばかり遊んでたので、『Cuphead』以外はあまりプレイできなかったかも。下位互換性タイトルがもっと増えないかなー。

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これも旧作だが『CONTRAST』。Xboxリワードのアンケート回答でコツコツためたリワードクレジットで購入したのを思い出してプレイした。ゲーム自体はわりと単調気味だが、ムーランルージュの世界観と影を使ったアイディアがキラリと光ってていいと思った。

 

■2017年やったゲーム PS4

 

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PS4を購入以来、『ニーアオートマタ』や『Fallout 4』など、家族にPS4を占拠されるタイトルばかりが増えていった印象。セールで中古ショップ相場よりも安くDL版がサクッと買えるしなー。先日も『ウィッチャー3 ワイルドハント』を買ってて、あーまた占拠時間が長くなる……と思った。

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そんな中、PS+で無料DLして合間を見てプレイしたのが『グラビティデイズ』。実はこんなにオシャレゲームだと思わなかった……バンドデシネ好きなのでグイグイときた。サブタイが往年の名作映画邦題のパロディなのがイカす。こういうトコから映画の元ネタを知らない若い世代が古い映画を観るようになったらいいよねーとか、キトゥンちゃんがネットでよく「くさそう」と言われてる理由が分かったり。下水道暮らしならそりゃー臭いよ!

あとまだ未プレイだけど、今年リリースされた続編『グラビティデイズ2』のこのイメージムービーとCMソングがゲームの浮遊感と疾走感を非常にうまく表現していてとてもよかった。こねことジャケ写かわいーなー。

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■2017やったゲーム Steam編

 

買った(積んだ)ゲームの数はもっとも多いし、もはや買ったゲームの数など数えないのがSteamゲーミングだが、PCゲーミング環境もだいぶ整ってきたのでちまちまとプレイしてる。台湾の高校が舞台のホラーアクション『返校 Detention』は、『トワイライトシンドローム』を彷彿とさせる懐かし怖いテイストと、日本語の縦組テキストが見事にマッチングしててよかった。文化圏の違いを感じるゲームをやると新鮮だなー。

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redcandlegames.com

 

■2017年やったゲーム スマホゲーム編

 

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昨年は『ポケモンGO』、今年は『ポケ森』の一本となったが、『ポケ森』はクリスマスイベントでクラフトコンプ後、クリスマスのもとが余ったのでもう少しクラフトしようかなーと思った瞬間、ゲームのリフレッシュ→お正月イベントが始まり、今まで貯めてたクリスマスのもとが全部消えてしまって、なんだか燃え尽きてしまった……まじかー。せっかく貯めたのだから別の材料(主にふわふわのもと)に交換とかできればいいのに! おしょうがつのもと、集めるのどうするかなー。面白いけどだいぶ疲れ気味に。

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『ポケGO』も、開始時からずっと続けてきたおすもうゲーム(大相撲カード決戦)もすっかりやらなくなり(おすもうゲームは引退した日馬富士の扱いを今後どうするのか、近頃時々ログインしてる。カード自体が抹消、あるいはレジェンド化するのかな? なお『大相撲カードバトル』は事前登録したが、おすもうゲームと内容がほぼ一緒なのですぐやらなくなった)、ハマりたくないから敢えてスマホゲームを遠巻きにしてたが、ふと思いたってスマホ版『みんゴル』をやってみたらなかなか面白くて、ひとりでゴルフモードの全コースをクリアしてしまった。当然だが、スマホでもちゃんとみんゴルになってるのがすごいなー。スマホ操作の相性もかなりいいと思う。

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■2017年やったゲーム その他編

つい先日、発売時に買えなかったミニスーファミが在庫潤沢になり購入できたので、ちょこちょこプレイしてる。こうして改めて画面を見ると、どのタイトルも青色の面積がやたら多い印象。大画面かつドットくっきりで『パネポン』や『FF6』ができるのは素晴らしい。やっぱりFF6のドット描写は超絶すごい。目玉である幻タイトル『スターフォックス2』は、わりかし普通だった。キャラにサーバルキャットがいるのは今どきっぽい感。

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任天堂つながりになるが、そういえば先月末、上野のヤマシロヤで開催された『星のカービィ』25周年記念ミュージアムに行ってたのだった。年末の慌ただしさでレポを書きそびれたが軽くレポっとくと、会場には若い女子や子どもたちにあふれていて、写真撮影OKの企画書、資料展示がとても充実して読み応えがあった。カービィグッズもたくさん展開されており、つい散在しまくってしまった。ウィスピーウッズの森を模した寄せ書きコーナーには、ファンからのカービィ愛たっぷりのコメントがびっしりと埋め尽くされていて、カービィめっちゃ愛されてるなーとこっちまで微笑ましくなった。はるかぜポポポ(開発当初のタイトル)25歳おめでとー。

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カービィといえば、今年は粘土でこんなのを作って遊んだりした。紙粘土は軽くて使いやすいが、やっぱり小麦粘土のほうが質感や手触りがよいかも。丸くて色のはっきりしたキャラは子どもにも認識しやすくて親しみがあるし、何よりも造型が作りやすくていい。

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無邪気で無慈悲な創造と破壊。


■2018年 マクガ的来年やる&楽しみにしてるゲーム

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『トリコ』にすっかり魅入られてしまったので、フルリメイクのPS4版『ワンダと巨像』の発売がすっごく待ち遠しい。どこかで「まだ『ワンダ』が未プレイな人がとてもうらやましい」というコメントを見かけて、『Portal』をそのように勧められて初めてプレイして感激したのを思い出した。自分も誰かに「まだアレをプレイしていないなんて、これからアレを体験できるなんて、うらやましい!」と言えるようになりたいものだ。

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新規タイトルだと、PS4の『Detroit Become Human』にすごく期待してる。TGSのアンドロイド販売ディスプレイに感心して、これは絶対にプレイしようと思った。

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今年リリースで、楽しみにしていながらまだ購入できてない『Wolfenstein II The New Colossus』もやりたい。あっ、いまウィンターセールで50%オフになってる……早く買わないといつの間にかGWセールで100円で買えちゃうヒャクエンシュタイン2になっちゃうよ~!

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スマホゲームでは、『風ノ旅ビト』のthatgamecompanyの新作『Sky』も、とても楽しみで仕方ない。8人マルチってどんなんだろー。『風ノ旅ビト』のように、名前もIDも表示されない、世界のどこかの見知らぬ誰かとco-opしてみたい。

 

ふと気づいたら、いま12/30の朝の6時くらいなのだが……これでおおよそ書き切っただろうか。まだ残ってる気もするが、ゲームについてはたぶんこんな具合の2017年だった。

統括してみると、今年は何度目かの、おそらく2.5度目くらいのゲーム元年だったと感じた。1度目は親にファミコンを買ってもらったとき、2度目はGC版『PSO』にハマったとき、そして今年、現行ゲームハードを2台も買ったとき、の2.5度目。そのくらい、ゲームを通じてたくさんの体験や思い出が生まれた。自分にとって、新作・旧作を問わず、初めてプレイしたらそれは新作で、今年のGoTyやIGDで常にあってほしいし、ゲームをするのもしないのも、一期一会の大切な機会なのだと思う。

ところで○○元年とか最初に言い出したのは誰かしら……平成だー!! その平成も再来年、あと数日で来年になる平成31年には終わっちゃうなんて信じがたいが、平成が終わっても新時代が来ても、ずっとゲームやって生きていたいなー。

 

ゲームエントリについては、これでおしまい。残りの音楽エントリを書く時間がもはやなさげ。本日書けたらがんばってみる、ってなわけで今夜の自分に託してみたり。

 

2017年統括ベスト5

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あーあクリスマスが終わってもうたー。今年もユニコーンの「雪が降る町」をリピートする数日間がやってまいりました。明日28日が仕事締めだが、人も車も減りはじめてるし(家にこもりっきりだけど多分そう)気分はもう店じまい。

ゲーオタ周辺界隈でもぼちぼちと、私的GoTy(ゲームオブザイヤー)やIGD(いいゲームだった)エントリがアップされており、自分もさっさと書ききっちゃって今年のブログ締めを済ませて、年末~新年に向けて気分解放しちゃいたいところなのでパパッとやっちゃおう。なお昨年の統括エントリはこちら。昨年の様式、ベスト5にならって書いてゆく。

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番外★ブログ爆誕1周年

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昨年7月にブログ開設して以降、なんと毎月必ず1回は更新するペースが継続している。すげー!! 誰も褒めないから自分で自分を褒める。しかも4月は4回も更新してるし。この春頃から、文章を出力したい意欲がやたら沸々と湧いてきて、ゲーム以外にもテーマを決めて焦点を当てるなど、毎月モチベーションが続いてる。実はここへ書ききれていないゲーム系イベントもいくつか行ってて、アクセスを稼げそうなイベントレポ記事も書きたいのだが、どっちかつーと自分の書きたい情熱を優先してる感じ。来年もこのモチベが続くといいなー。

5位★ゲーセンスナップ活動がはかどった

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10数年ほど地道に続けてるゲーセンスナップ活動。今年はあちこち出かける機会が多く、ついでに写真を撮るチャンスにも恵まれてよかった。半分密偵活動のようなものゆえ未掲載の写真もまだまだあるのだが、その中で撮ったお気に入り写真でこっそりヘッダを新調してみたり。

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ヘッダの全体画像。タンクフォースいいよねー。この情報だけでどこのゲーセンかバレそうだけども、誰もいない白昼のゲーセン最高。

ゲーセンスナップ活動、啓蒙しても流行る気配がちっともないのが残念だが、ほかの人たちの古今東西ゲーセンスナップもぜひ見てみたい。

4位★音楽をめっちゃ聴くようになった 

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音楽関連のエントリ、もしかしてゲームより多くね……? けど正直なところ、人生の中でもっともお金をかけた趣味は、ゲームよりも音楽かもしれない。中古でもCD一枚の単価が高いしねー。とにかくいま、20数年ぶりくらいにめっちゃ音楽を聴きまくってる。そして長年執着していた物理メディアにも、ついにサヨナラした。

ふと唐突に思い出した、昔聴いていたあのレア盤やあの曲をネットで検索すると、YouTube動画、あるいはSpotifyでアーティストページ付きであっさりと再会し、また聴けるようになった。ライナーノーツをワクワクしながらめくる手触り、CDをそっとデッキに入れてスピーカーに耳を傾けるトキメキはもはや失って久しいが、つくづくいい時代だなーと思う。しばらくご無沙汰してたが、これからもゲームと同じくらい、音楽に再び寄り添って生きていきたい。つーか音楽関連エントリ、誰にも需要ないけど別途書きたいなー。

 

3位★8年間飼っていたフェレットをお見送りした

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実を言うと、うちのブログのアクセス解析を見ると、この記事がもっともアクセス数が多い。「フェレット 最期 看取り」で検索訪問してくるっぽい。フェレットの看取り日記など、ほかにも幾星霜ほどありそうなものの、なぜゲーオタブログなどに……と疑問だが、この世のどこかで、愛するフェレットの短い命を見届けたオーナーたちと哀悼を分かち合えていると考えると、お互い少し救われた気持ちになるのではないか。在りし日の写真や部屋のあちこちにあるかじった痕の名残、ケージのあった空っぽのスペース(すでに荷物でいっぱい)を見ては、時々まだ思い出してしんみりしてしまうが、フェレットのいない生活が徐々に普通の日常となりつつあり、姿かたちはもうないが、やっとフェレットたちが心の中に永遠に住みついてくれたのだと思う。

先日出し終えた来年の年賀状には、今回で最後となるコッパの写真とご挨拶を載せた。8年間、我が家の年賀状を楽しく彩ってくれてありがとう……けどもう、今後もしペットを再び飼い始めても、年賀状には載せないようにしたい。いつか必ず来るお別れが、あまりにも淋しいから。つーかもっと本音言うと、年賀状を出すのもうやめたい。これもどっかで断捨離せねば!

 

2位★据え置きゲーム機を2台も買った 

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昨年のXbox Oneに続いて、今年はなんと2台も据え置きゲーム機を買った……あ、こないだミニスーファミも買ったから厳密に言うと3台か。もしかして今までのゲーオタ人生の中でも、今年は最もいっぱいゲームを買ったり遊んだりできたのでなかろうか。Steamやスマホゲームも含め、あらゆるゲームがプラットフォームを問わず遊べるようになったのがもはや当たり前に感じるが、ゲーオタにとっては、いまこの時代がいちばん最高にパラダイス状態なんだと思う。
で、今年のゲームオブザイヤーは……うーん、ちょっと長くなるのでやっぱこれも別エントリで書きたい。ブログで書いてないゲームもいくつかあるし、結論から言うと『人食いの大鷲トリコ』あたりなんだが、2016年発売タイトルなのに!? って反論に応える意味でも、GoTyとIGDは別で書こう。すぐ書こう!

 

1位★今年の漢字「終」と「始」ーー終わりの始まり、始まりの終わり 

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ごく個人的出来事だが、始まったものが、また終わってしまった。夏、神保町のレトロ喫茶店で、打ち上げという名の惜別会をした。何度目かの終わりだが、今度こそ本当の、最後の終わりだと確信した。10数年間、身体を壊したり仲間を失ったり人生の岐路を迎えたりなど翻弄されつつ、よくもまあ続いたもんだ。このほかにも、終わりの始まりや、始まりの終わりを感じる出来事が、今年はいくつかあった。「20年ヒストリー」と称して自らの半生を振り返る行為もある意味、始まりの終わりなのかも。
好きなものーーたとえばここではゲームとするが、いちど寄り添ってみたあと、あえて距離を取り、日常を大事にしつつ、今までとはちがう新しい関係を築けるのは、これもひとつの愛のかたちなのだろう……そんな新しい未来のことを想像すると、ワクワクしてくる。これが終わりの始まりなのだと思う。

 

最後に、昨年も書いてた健康・美容方面の目標について。
毎日のフロントブリッジ習慣を、腹筋ローラーを朝20回+左右ひねりを加えた20回、計40回に換えたり、ゴム製ダンベルを購入して一日10分ほどの自宅筋トレを、6月頃から開始した。目に見える変化はないが、重いものをヒョイっと持ち上げられるようになったり、横っ腹あたりが硬くなってスッキリしてきたかも……? とはいえ体重は特に変わりなく、実家いぬ散歩がてらウォーキングはあまりできなかった。筋トレは最近サボり気味なので、もう少しメニューを見直して気をつけたい。鍛錬も体重減量もやはりウォーキングが最強なので、来年は毎日の腹筋ローラー&筋トレ活動を維持しつつ、ウォーキング方面を強化したい。めざせマイナス8キロ。遠い。
美容については、新年頃からつけ続けてきたまつげ美容液の効果が、やっと実感してきた。フサフサに増えるってよりも長さがでるんだなー。つけまも試したのだが、まぶたに付けるときの負担やかゆみがハンパないので、地毛でどうにかしたい感じ。しかしまつげが直毛すぎてホットカールしてもすぐ戻っちゃう。まつエクとかまつげパーマって実際どうなんすかねー。ちょっとトライしてみたい。うちで使ってるアイテムは以下の通り。もしオススメのトレーニングやコスメアイテムがあったら、ぜひ教えてほしい。

 

アーミーダンベル 7kg 2個セット ブラック LEDB-07BK*2

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DHC エクストラビューティ アイラッシュトニック

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あと今年もだが、とにかく体調崩しまくりだった。マスカラ&アイライナーをがんばりすぎたのが原因で、まぶたにできもの(マイボーム腺炎っていうらしい)ができたり、数年前に転倒して鼻を骨折して以降、風邪を引くと副鼻腔炎になってしまいがちに。誕生日当日に寝込んでたのがもっともショックだったなー……。来年はもっと健康に暮らしたい。

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ってな具合の、2017年統括でした。今年も一年、当ブログをご愛読頂き、誠にありがとうございました……あっでも、このあとすぐゲームと音楽エントリを書くのでまだブログ締めじゃないよ! でもひとまず、よいお年をー。

 

メリクリ☆2017 in ポケ森

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メリークリスマス
フレーム内にぜんぶ収まりきってないしどうぶつ達もそっぽ向いてるけど、クリスマスクラフト全種類作りきったので記念写真撮ったー。ポケ森激ハマりフレンドのキャンプ場へ行くと暖炉や雪だるまが何個も置いてあったりして……ありえない!

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あとキャンパー歴が四十路になった。わりとサクサクLV上がるけど、ここからが茨の道な気がする。いつもふわふわのもと&カチカチのもと、フナとコガネムシとサクランボが圧倒的に足りない。ガーデンも始まったけど、隣合わせで花を植えてレア花を咲かせるシステムじゃないのがなんだか新鮮。フレンドのガーデンにタネを植えたりプレゼントできるといいんだけどなー。

 

そういや昨年はポケモンGOでクリスマスお祝いしたのだった。2年連続で任天堂スマホゲー(ポケGOは厳密には任天堂タイトルでないけど、あえて引っくるめた意味で)でクリスマス過ごしてるって、なんだかすごいね。

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ちょびっと早いけど、当日はサンタ業などで忙しそうなので早めのご挨拶。皆様もどうぞ、よいクリスマスを。次はいよいよ今年最後の更新、ゲームオブザイヤー的一年統括エントリ書くかなー。

それでも、友達でいさせて――『Emily is Away Too』レビュー

ポケ森で釣りやクラフト作成に夢中になってるうちに、今年もあっという間に年末になってた。うわーあと3週間で2017年も終わるってまじかー。ゲーオタブログだから、なんとなく使命感に駆られてゲームオブザイヤー的エントリとか書かなくっちゃ……とその前に、ひとつ書いておきたいレビューがあったのだった。

 

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『Emily is Away Too』。以前も誰かの人生体験エントリでちょっと触れたが、前作『Emily is Away』をクリア後に続編を買って、先日クリアしたのだった。今年5月にリリースされたので、自分的ゲームオブザイヤーにももちろんノミネートしているのだが、それとは別に独立エントリを書きたかったので、書く。

あらかじめ断わっておくと、自分の英語力はせいぜい高卒レベルで、Steamや海外ゲームフォーラムで何を言ってるかのニュアンスを辛うじて理解できる程度で、本作における英語チャットも、キーワード、語彙の強弱などで会話の流れをなんとなく分かってみたつもり……な範疇なので、具体的なストーリーや会話内容は、あくまで自分の意訳・解釈も入っており、ほとんど参考にならないかもってことを、どうかくれぐれもご理解いただきたい。

 

舞台は2006年。AOLメッセンジャー風チャットで、大学へ進学した女友達のEmilyとEvelynの二人と、同時にチャット会話をするだけのゲームだが、時代背景や二人の女友達とのウィンドウを切り替えながらのリアルタイムなやりとりが、非常にリアリティがある。馬鹿の一つ覚えのようにリアルリアル、とつい言ってしまうが、会話にあわせて選択肢をクリックすると、どのキーをデタラメに押しても自動的にカチャカチャッと入力されるテキスト――これは体験しないとわかりにくいが、まるで自分が英語を流暢に、カッコよく打ち込んでるように錯覚できる――を読んでいるだけなのに、モニタの向こう側の誰かと実際にチャットしているような、自室でPCに向かっているときの空気とキーボードの肌触り。バーチャルなのに、とにかく現実感があるのだ。たとえば自動入力されるテキストは、時々ミスタイプもするし、自分の選択した内容を打ち込んでたのが、途中でタタタッと全消して別の異なる返答を書いてしまう。Returnを押す直前、ホントにこれで送っちゃっていいのかな……あーやっぱやめた! と、送信前のためらいを感じさせるアレ、チャットあるあるだ。自分の選択肢ではない答えをはじき出す……前作でも体験した、この思わぬ展開を見せる演出には、非常に驚かされた。

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Emilyから「好きなゲームジャンルは何?」と尋ねられた。下手の横好きだけど、この中ならFPSかなー。RPGとも迷ったが、日本と海外で「シューティング」の単語の意味が異なるのと同じ誤解を招きそうなので、FPSと答えた。ゲームスタート時に選択できるアイコン(2006年当時に流行の音楽や映画、ゲームやネットミームなどのシンボル)も含め、どれを選んでもゲームの進行上は特に関係なさそうだが、こんな具合で他愛もない会話が続く。

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彼女たちにはそれぞれ好みのアーティストがいて、チャット中にYouTube風ページのPVリンク(中に実物のYouTubeリンクが埋め込まれて再生できる)を貼って「これ最高にクールだから聴いてみて!」と勧めてくる。PVやアイコンのセンスからみて、Evelynはハードコアなパンクロックが好きらしい。ほかにもFacebook風サイトがあったりして、どれもシリーズ特有のドットナイズがとてもよくできている。

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下記リンクはゲーム内に出てくるフェイクサイト集。

Surf the web like it's 2006!

 

彼女らはPVリンクだけでなく「あいつ、こないだ私にこんなヒドいコト言ったのよ!」と、他の男友達とのチャットログも送ってきたりする。すると実際に、自分のPCデスクトップにログファイルが作成されるのだが、これにはかなりドキッとさせられた。これはただのゲームのはずなのに、会話ログという他人の秘密を実在するデータとして送ってくるのだ。EmilyとEvelyn、君たちはゲームのプログラムなんかじゃなくて、本当に存在しているんじゃないの?

 

こうして時間を重ねるうちに、ウィンドウを頻繁に切り替えながら二人同時に込み入った会話を進めていくようになるのだが、選択肢ウィンドウの下に突如、時間制限バーが現れる。時間内に選択肢を選び会話しなければならなくなり、焦りが生じる。もしかしてタイトルの“Too”(Two)って続編って意味だけでなく、二人のヒロイン、二つのマルチウィンドウともかかってるのかな……など漠然と考えながらチャットしていたら、おそらく制限時間内に返事が間に合わなかったのか、選択肢を間違えてしまったのか、Evelynが「ねえ、ちゃんと聞いてる? いま別の子と話してて忙しいの?」と機嫌を損ねて、突然Awayしてしまった。

そうこうヤキモキしているうちに、EmilyにもEvelynの存在が知られて、「仲のいい女の子がいるんだね……」と不穏な流れになり、そして再び、この展開が訪れてしまった。

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 “僕たちは、好きでいていいの? まだ友達でいられるの?”

翻訳か正しいかどうかは自信がないが、きっとそんな事を伝えたかったのだろう。これは主人公の叫びだが、いつの間にか、自分自身のかなわぬ願いとなっていた。前作でも、ハイスクールの卒業を控えて、いい感じになってはいたが友達のエリアを越えることもないままのEmilyと主人公二人の関係が、別のボーイフレンドとのケンカ話、アルコールの入ったパーティーに誘う/誘わないなどの些細で、さまざまな行き違いが生じ、元の関係に戻れなくなってしまう。

 

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Automatonのこの前作レビューを読み、非常に感銘を受けたのがきっかけでプレイしてみたが、何度周回プレイをしてみても、やはりEmilyとはAway=別れる結末しかたどり着けなかった。 三択すべてが“good bye”となり、どのgood byeを選んでも、主人公=自分はあのときのEmilyとはキスができないのだ。 

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『Emily is Away Too』エンディング後に現れるリザルト画面。総プレイ時間は約5時間。友達以上率(?)は高いが、まだ全然エンディング率を埋められていない。Emilyに二度目のgood byeを告げたばかりで、すぐに周回したい気分にはならなかった。

 

ここからは、本作やゲームとも特に関係なく他愛もない、個人的な話になる。

自分は現在、業務上の都合でWindowsユーザーだが、元々は20年以上前からこのハンドルネーム(Mac-girl)を名乗っているほどのMacユーザーで、ゲームキューブ版『PSO』で知り合ったネットの友人たちと、MacICQMSNメッセンジャーで夜通しチャットしたりして過ごしていたので、本作のモチーフであるWindows XPとAOLメッセンジャーは当時使ったことがないのだが、Windows XPの起動音~ハードディスクの書き込み音、メッセージ送受信のラリー音、メッセンジャーのインターフェース、相手がメッセージを記入中の表示……など、間接的だが、パソコンで会話するあの感触は、痛いほど、すごくよく分かる。OSは違えど、90~2000年代のPCチャット経験者ならではの共有体験なのだ。近年はコミュニケーション手段がスマホSNSに取って代わられてしまい、わざわざデスクトップPCに向かってチャットする若者も減少傾向なのかもしれない。PCメッセンジャーは、いずれ黒電話のような存在になるのだろうか。

 

気の合う友人たちと、夜な夜なPCチャットをしているうちに、くだらない話から次第に割と込みいった人生お悩み相談や恋愛話になったり……当時はすでに携帯電話もあったが、電話で話すのとはまた別物の、テキストを通じたコミュニケーションに、新しい意味や特別な価値、より深い人間関係の構築を見いだしていた気がする。

でも、それはただ「そんな気がしていた」「つもりだった」という何ら確信のない、ボンヤリした曖昧な記憶だけで、会話の内容も、実際には特に中身もなく取るに足らない、どこの誰にでもあるどうでもいい、ただの出来事――ごく個人的な、けど他人の単なる昔話だったのだ。テレホタイムに夜通しネトゲやPCチャットをしていた事実や体験は、年を経た現在でも鮮明に覚えているが、あの頃にはもう戻れないしやり直せないし、同じようにはできない。

本作の主人公のように、楽しかったエピソードだけでなく、時には返答に迷ったあげく誤解を招いて、嘘を重ねて過ちを犯し、傷つき傷つけ、裏切り裏切られ……好きなひとやモノなどの大切だった何かを数バイトのログに落とし込み、もはや復旧も再生もできないハードディスクの奥底へ閉じ込めてしまっていた、切ないデジタルの思い出を、『Emily is Away』は、痛いほどよみがえらせてくれた……よみがえったからって何かあるワケでもないし、過去の自分には訪れなかったいわゆる青春のキラメキを、ないものねだりするしかないのだが、つい先日、自らの20年ヒストリーをプレイバックしたときのように、この気づきや振り返りは、少なくとも自分にとっては、これから先が長い(短い?)かもしれない人生を、もう後悔なく生きるために、必要な一区切りなのだと感じた。

ネット界隈でよく聞く「自分ら世代の若い頃に、インターネットやSNSがなくて本当に良かった。もし昔に使っていたら、きっととんでもない後悔やバカなマネをしていた」というコメント、同意するし実に分かりすぎるのだが、メッセンジャーチャット経験者は、本作をプレイしたうえで、どうか少し昔の頃を、じっくりと思い出してほしい。「若い頃に、インスタントメッセンジャーがあったことで、後悔やバカなことをしてしまった」と。

 

最後に本作の話へ戻ると、エンディングでとあるアーティストの名曲が、テーマソングのようにYouTube風ページで再生されて、おそらくEmilyたちと同じ世代には少し懐かしく、グッとくる演出なのだと感心した。が、Emily世代よりも少し上世代の自分にとって、個人的にはあまりクるものがなかった。40年ほど前のだいぶ古い曲だけど、いまの心象風景的には、むしろこっちのほうがエンドテーマとしてはピッタリかも。 

 

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トッド・ラングレンの“Can We Still Be Friends” 。最近、映画「ヴァージン・スーサイズ」のサントラがきっかけで、トッドの曲を久々に聴きまくっていたタイミングで、この曲の存在を思い出した。女々しいオトコの歌だけど、ナイーヴな男心を分かってあげられない女の立場で聴いてもやるせなく、切ない曲。

 

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実はロバート・パーマーのカバー版のほうが聴きなじみがあったり。マーヴィン・ゲイのカバー曲がもっとも有名な彼だけど、この曲が一番好き。もしかしたらトッドのオリジナル版よりも好きかも。しかしロバート・パーマー、男前だなー。

 

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ダリル・ホールとのセッションライヴ。熟練された演奏と美しいコーラスに、胸が奮える。トッドの最新近影を見ると、なぜか大物ロックンローラー寄りになってて内田裕也化が著しくてアレだが、このトッドはめちゃカッコいいと思う。ブラック・ジャックみたいな白黒ツートンヘアーも好み。

 

“We can't play this game anymore but Can we still be friends?”

もうこれ以上、こんなゲームは続けていられない
それでも僕たちは、友達でいられるかい?

 

――私は、これからも好きでいて、いいのだろうか。

せめて、それでも――友達でいさせて。

 

 

【追記 12/16】

help.aol.com

wired.jp

奇遇にも、AOLインスタントメッセンジャーが今年の12/15をもってサービス終了してしまうことを、今さらながら知った。サービスが終わる前にこのエントリを書けて、本当によかった。AIMがなければ、このゲームも生まれなかった。感謝。