Read me 激情

しがないゲーオタ女子の真・闇ブログ

暁天礼讃 ―空が白んでくるまでしたい、アレコレ話―

早いもので、もう今年も5月半ばをとうに過ぎてしまい、気づけば日も長くなり、夕方には外から夏の匂い(海が近いので厳密には潮くさい)がただよってくる。近頃は、空がまだ明るい夕暮れに日の長さを実感することが多く、以前は早朝に起床したり、徹夜やオールナイトしてると夜明けが早くやってきて、日の長さ=夜の短さを実感する機会のほうが多かった気がする。

先日もSteamゲーミングの件で少し書いたが、それほどまでに、夜ふかしの機会も失い、夜起きていられる生活環境でなくなってしまった。好きな2大深夜TV番組に「月曜から夜ふかし」と「タモリ倶楽部」があるが、いずれも毎回リアルタイムでなかなか見られないため、録画で見てる始末だ。

 

そんなワケで、夏も近づき夜も短くなってきたので、夜明けを惜しむようにゲームとか映画とか本とか趣味に嗜んだり、気の合う誰かと一緒に過ごすとかで夜ふかししたい……ってよりも、夜通しで何かに夢中になっていたい、そして空が徐々に白んできて、儚く美しい朝焼けを眺めていたい願望が、いまとても強まっている。つまり、暁(あかつき)を礼讃したい。ゲームしまくってたらいつの間にか朝になってたってのも最高だし、昼夜の時間概念があるゲーム内でウロウロしてたら明け方になっちゃうのも大好きだ。昼と夜でエンカウントできる敵が異なるのもいい。

今回は、ゲームとあまり関係ないネタばかりになりそうだが、仕事で完徹して気づけば朝という最悪シチュエーションは一切除き、これまでの過去にどんな夜明けが印象的だったかを、書き綴ってみようと思う。

 

J-WAVE「Still Life」と課題と過ごした暁

20数年前、美術学校の専門学生だった頃の話。

課題の提出に追われて徹夜するときのお供は、J-WAVEの深夜ラジオ番組だった。前回エントリでも軽く触れたが、MC RYUの「Soul Train」や「Across The View」からの流れで、午前3時スタートの「Still Life」もよく聴いていた。オープニングテーマ曲の“After the Rain”が、深夜から早朝までの、静かでゆるやかに流れる時刻と雰囲気を象徴するようなメロディーで、今聴いてみても、課題制作に没頭していたあの頃と、番組エンディングを迎えて朝がやってくるあの時間帯を思い出させる。自分にとっては、永遠の深夜早朝のテーマ曲だ。なお肝心の課題は、いつも登校時間ギリギリで完成させていた。

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作曲者・宮浦清氏本人の演奏による“After the Rain”。オリジナルも好きだが、こちらのギターリフが素晴らしいアレンジも最高。

また、 前職の職場BGMでもJ-WAVEを聴いていて、2002年頃にメジャーデビューで存在を知りファンになった、5人組の侍ジャズバンド「PE'Z(ペズ)」の“Akatsuki”も、まさしく曲名を呈するように最高にイカす夜明けのアンセムだ。こちらは都会の朝焼けを駆け抜けるような疾走感で、めちゃくちゃカッコイイ。解散しちゃったのが今でも残念。

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●深夜のテレビ映画たちとの密やかな暁

自分がもっとも好きな日本映画のひとつに「太陽を盗んだ男」(1979年/長谷川和彦監督)があるのだが、17年前の6月、ある土曜の深夜に地上波放映されると知り、ビデオ録画予約していたが、楽しみすぎて自室のテレビでリアルタイムで夢中になって見ていた。

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本作は中高生くらいの頃、たまたま付けたNHK衛星第2で放映されてたのを見たのが初見だったが、ビデオも出ておらず、あまりの衝撃にもう一度観たくなり、「ぴあ」でこまめに都内の単館上映をチェックして観に行ったほどだった。後年リリースされた、予約特典ポスター付きDVDはもちろん買った(ポスターは行方不明になったが……)。当時はジュリーの妖艶で中性的な美しさに夢中だったが、歳を重ねたいま見ると、ヘリから落ちても死なない菅原文太の滾る男の頑丈さに惹かれる。まーどっちもカッコイイわよねー。

念願だったテレビ放映が終わると、外はすでに薄明るくなっていた。劇中でいうと早朝のカーチェイスシーンくらいの明るさだった。映画の余韻に耽っていると、突然部屋のドアが開き、母が飛び出してきた。「赤ちゃん、無事に産まれたってよ!!」と叫びながら。

3歳年上の姉が、二人目の子ども(姪っ子2号)を早朝に出産したのだ。どうやら急に産気づき、産科へ向かう途中の車内ではすでに頭が出ていたらしい。二人目ってやっぱり早いんだね……と、夜ふかし中に突然の報せだったのでとてもビックリしたが、とにかく無事に産まれてよかった、と安堵した。そんな姪っ子2号も今では高校2年生となり、チアリーディング部に入部して筋肉隆々ガールとなり、彼氏もできて青春をエンジョイしている。

 

もう一本、深夜にテレビで観た映画で紹介したいのが、18禁映画になるが、「四畳半襖の裏張り」(1973年/神代辰巳監督)。学生の頃、実家で加入しているCSの映画専用チャンネルで、深夜帯に日活ロマンポルノが放映していたのを発見して、70年代のめくるめくエロチシズムの匂い立つ世界に、自分はたちまち密かに夢中になり、家族たちが寝静まったリビングで、こっそりと観ていた。特に気に入ったのは神代辰巳監督作品で、本作と「赫い髪の女」(1979年)は最高傑作だと思う。

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あれほどこっそり拝聴していた日活ロマンポルノが、気づけば今ではネット配信でも気軽に観られるようになっていた。細かい内容はあまり覚えていないが、情交シーンの合間に時折入る、若い見習い芸者のお稽古シーンで、タマゴを股にはさんで歩いたりなど、いわゆるシモの締まりを鍛える肉体訓練が、なんだか滑稽かつ鮮烈だった記憶が。当然だが、誰しも最初は駆け出し時代があるんだなーと感心した。

そして物語の終盤近く、主人公の芸者が遊び人の得意客と座敷で夜通し絡み合っていると、暗闇だった障子の窓が徐々に明るんできて格子がくっきりと浮かび上がり、場面が変わって朝焼けの海が映し出されるシーンが、男女の情愛を彩るようにとても美しく、深く印象に残った。オトナって朝が来るまでこんなエッチな事してるんだ……と思ったのだった。

 

●『逆転裁判』を一気にクリアしてしまった暁

話題がだいぶ偏りすぎたので、路線変更的にここでちょっとゲームの話を。

ついつい夢中になりすぎて、ゲームは完徹&夜明かしした経験は幾多もあるが、ひとりでじっくりプレイ、クリアしたら気づけば朝だったゲームで印象深いのは、ゲームボーイアドバンス版『逆転裁判』(以下『1』)。逆裁シリーズはリリース後しばらくしてから評判を聞き、追っかけで遊び始めたらまたたく間にハマってしまい、以後DSでのリメイク版も何度も遊んだ。リメイク版は出るたびに画面の明るさに驚いたなー。

『1』の最終話「逆転、そしてサヨナラ」のクライマックスで、狩魔豪への怒濤の追い詰めが始まると、止めどきも時間感覚も完全に見失い、翌日も仕事なのに一気にクリアしてしまった。小説を夢中で読んでいたら朝になったように、真夜中にひとりで携帯ゲームに没入して遊んでたら朝になってたのは、たぶん『1』が初めてだったかも。あの時の空は、頭の中のように真っ白だった記憶がある。以降のシリーズももちろん面白くて大好きだが、『1』のように朝まで没頭プレイはせず、翌朝に響かぬ程度にマイペースにセーブしながらクリアした。

 

●レインボーブリッジ、湾岸線から眺めた暁

2000年、田町のデザイン会社に勤務していた頃、徹夜仕事が終わるとタクシー帰宅(ちゃんと手当が出た)するのがわりと日常的で、終電を逃したあとに帰るときもあれば、始発が出る少し前に帰るときもあった。ある夜、いつものようにヘトヘトになりながら、大手広告代理店前に王蟲のように並んでいるタクシーに乗り込み、芝浦入口から湾岸線を走り出した。もう眠いし疲れてるし寡黙な運転手に当たってよかった……とシートにぐったり身を任せて到着まで寝ようとしたら、登ったばかりの朝日が、今まさにくぐり抜けようとしているレインボーブリッジを、オレンジ色に染め上げていた。

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ちょうどいい車載動画があった。進行方向は逆だけどその時に見たのとほぼ同じ、レインボーブリッジからの都会の朝焼けが綺麗に映されている。

カーラジオからは、いつか子どもの頃に聴いたことのある、静かな口笛のメロディー。実は曲名がいまだに分からないが、そのメロディーと目前にひろがる大都会の早朝の眺望の組み合わせが、なんだかとてもエモーショナルすぎて、自分はちょっと涙ぐんでしまった……ただアクビをかみ殺して涙が出ただけかもしれないが。夜明けはすべてのものへ平等に訪れるのだと感じた。

 

●夢の中で見た、あの暁

この体験と光景がよほど印象深かったのか、いつかこんな夢を見たことがある。

真夜中、東京にある高層マンション最上階もしくはペントハウスのような場所……摩天楼で、大好きな男性と、夜の大都会のライトアップを眺めながら濃密な一晩を過ごしたあと、男性のバイクに乗って夜明けの首都高、レインボーブリッジを駆け抜ける……って、なんだか現実設定完全無視な、女子の青春妄想大爆走な夢って感じで、書いててめっちゃ恥ずかしいが、いつか見た美しい朝焼けレインボーブリッジが夢にも現れてくれて、目が覚めたあと、とても嬉しく、気持ちのよい夢心地だった。またああいうスピード感と時間を感じられる夢を見てみたい。

 

以上、暁があまりにも愛おしすぎて、いつか見たあらゆる場面の暁たちがいつまでも忘れられなくて、儚くも美しいからこそ、半永久的に残したくて、ブログにしたためてみた。

現実ではもう朝焼けなんて、深夜早朝に出かける用事でもない限り見る機会はないが、たとえそんな用事でもひとつ作ってみて、また新しい暁を眺めたい。ここかしこで「早朝ウォーキングとか健康的でいいですよ!」って声が聞こえなくもないが……まあ、ひとまずそんな感じで。おしまい。