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しがないゲーオタ女子の真・闇ブログ

マカロニほうれん荘原画展に行ってきた話

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先週の平日、中野ブロードウェイで開催された「マカロニほうれん荘」(以下、マカロニ)原画展に行ってきた。

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会期が非常に短いのと、休日は要整理券の入れ替え制だと知り、これは平日に行かねば無理だと思い、時間を作って行ってきた。

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平日の開館直後でこの混み具合。グッズはほぼ完売していた。中に入ったらみんな写真を撮りまくっていたが、念のため入口でスタッフに許可をもらい、自分も撮影してみたほんの一部をご紹介。


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ふおお……単行本のモノクロでしか見たことがなかった原稿のカラー原画が!!!! 記念すべき第1回目の原稿も全ページ展示されていた。トシちゃんときんどーちゃんの年齢もとっくに越しているが、気分だけは同じ落第n回生。

鴨川つばめの原画、下書き線やホワイト修正跡が一切なく、とにかく線とレイアウトが美しくて、絵が超絶ウマすぎる。過去には手塚治虫原画展や昨年開催されたジャンプ展など、有名漫画家や作品の生原稿を見てきたが、これほど印刷原稿と遜色がない美麗な漫画原画は、そうそうお目にかかれないかも。何よりも、40年近く前の原稿とは思えないほど絵柄が洗練されていて、色あせて古びていないのがすごい。展示の照明が若干強めだったのがちょっと心配になるほど、かなりよい状態で保存されていたと窺える。

 

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有名な一コマカットの拡大パネルも。これこのままグッズとして売ってほしかったなー。

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単行本のページ埋め合わせカットの原画まであった。このへんの絵、紙に穴が空くほど何度も何度も眺めてたよ……!!

 

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きんどーちゃんの、最高にイカした一番好きなセリフ。漫画でオシャレなファッションや音楽、モードを表現してきた作品は数多くあれど、このたった一言で70年代当時のパンクムーブメントのすべてを集約してしまっているのがカッチョイイし、パンクを知らない層にも分かりやすく伝えていて、とても素晴らしい。この話自体も静・動のリズムとテンポがすごく良くて面白かったなー。クマ先生はノセられるとチューリップ熊美に変化するのが好きだった。

 

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マカロニでは、本編と無関係のキャラが出てくる、鴨川つばめのセンス炸裂のオシャレな扉絵がとにかく大好きで、このあたりの扉絵原画が見られて感激していた。特にセーラー服×日本刀の原型とも言える「センチメンタル・サーカス!!」の扉絵(カラー原画!)は本当に素晴らしくて、目の前で感涙してしまった。パネルに写真撮ってる自分が反射しちゃってるね……写真はもちろんiPhoneの壁紙にした。f:id:macgirl360:20180604104007j:image

単行本全巻も置いてあって、今すぐそばにあの絵があるんだなーと感慨深く読み返しながら見較べられるのも嬉しい。このナチス3人娘扉絵も好きだったなー。


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今回の原画展最大の見所ポイント、作者自らの選曲による会場内BGM直筆リスト。モチーフで描いていたバンドばかりが並ぶ。ブリティッシュ・ハードロックが本当にお好きで、きっとノリノリで選曲されたんだろうだなぁと感心した。最後?に10ccの「アイム・ノット・イン・ラヴ」で締めてるっぽいのもいい。Spotifyでプレイリストを作りたいくらいだ。

個人的にはスウィートの「アクション」が入ってるのが嬉しかった。デフ・レパードやスティーヴ・スティーヴンスのカバー版が有名だが、原曲はダサかっこよさが極まっててイカす。「マカロニ」のテーマ曲にしてもいいくらい。

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スージー・クアトロの「ワイルド・ワン」も入っててこっちも「マカロニ」の世界観にピッタリな選曲だと思うけど、どっちかっつーとBOOWYとのコラボや「ビートたけしお笑いウルトラクイズ」のエンディングテーマ曲なイメージ。アレのドタバタっぷりはマカロニ感あるかも。

 

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感動に震える手で描いた寄せ書き。緊張しすぎて字も汚いし、トシちゃんのヒゲを描き忘れて痛恨の極み……! オシャレ扉絵はホントにもっと見たいので、ぜひ!!

 

原画展レポートはこんな具合で、ここで自分とマカロニとの出会い、思い入れなどを綴りたいと思う。

 

自分がマカロニを初めて読んだのは、幼稚園の頃。親戚の家へ遊びに行ったとき、当時高校生だった叔父の部屋の本棚に単行本があった。手塚治虫の「ブラック・ジャック」も置いてあり、70年代チャンピオン・コミックス定番人気作だが、いずれも自分の人生で一番大事な漫画作品たちだ。幼稚園生でも分かる、スピード感溢れるハイテンション・ギャグの面白さ、ロックやミリタリーのカッコよさ、時々ちょっとエッチな内容に一気に惹かれて、小学校に上がってから自分用に単行本を買って揃えた。他には柳沢きみおの「翔んだカップル」や村生ミオの「胸さわぎの放課後」などの王道ラブコメ作品も置いてあったが、そっち方面には転ばなかった。親戚の叔父も、まさかこんなネットの片隅で今さら学生時代の本棚の中身を晒されているとは知るよしもないだろう。

会場には、叔父と同世代と思われる50代のおじさん、おばさん層から若者まで、あらゆる世代が来ていたが、みんなそれぞれ、マカロニとはどんなファーストコンタクトだったのだろうか。特に若者は単行本と出会う機会も少なくなっている気もするので、興味がある。マカロニファンと会う機会があれば伺ってみたい。

 

マカロニの魅力は、ロック音楽、ミリタリー、昭和歌謡、特撮など、作者の好きなあらゆるカルチャーのすべてをギャグ漫画に濃縮還元していて、70年代の流行や時代感もそのまま吹き込まれているのだが、連載40年を経た今読んでも時代の古さをまったく感じさせず、次元を超越した存在になっている点だと、原画を目前にして改めて気づいた。マカロニ評でよく言われる「漫画から音楽が聞こえてくる」という喩えがあるが、自分が断言するに、マカロニはロックオペラなのだ。

 

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ケン・ラッセル監督によるザ・フーロックオペラの映画化「TOMMY」(1975年/イギリス)。初めて観たとき、映像表現や群像の描き方、疾走感がまさに「実写版マカロニほうれん荘だ!」と直感した。そういえばこの映画、ゲーセンやピンボールが出てくるんだった。ゲームの話題をギリギリ放り込めた! ピンボールチャンピオンのエルトン・ジョンとのセッションバトル(ピンボールに鍵盤が付いてプレイする謎仕様)と、ピンボール教信者たちがピンボール筐体をぶっ壊すシーンがお気に入り。

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mixi.jp

mixiの参加コミュニティ「マカロニほうれん荘鴨川つばめ」で、パロディ元ネタ研究・検証トピックを久々に読み返してみたら「TOMMY」のパロディ検証もされていて、ちょっと嬉しかった。マカロニに影響を受けてパンクロックに興味を持ち、大人になってから元ネタを知る喜び。このコミュ、マカロニ&ロックファンのすさまじい熱意と貴重な資料が満載なので、どうかインターネットアーカイヴとしてこのまま後世まで残っていてほしい。


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鴨川つばめの近作イラスト。こちらこそ、素敵な原画展をありがとうございます。アニメ化・実写化などメディアミックス話はいまだに先生のところへ来てるかもしれないけど、どうかずっと断り続けて、マカロニはずっと永遠に、漫画のオールタイムベスト、オンリーワンでいてほしい。3DOのゲーム版は……そもそもハードを持ってなかったので、3DO識者の記事を参考にする程度に留めておこう。フューチャー・パイレーツ制作かー。無職でハロワに通ってた時、求人票を見たよ。

【マカロニほうれん荘インタラクティブ】名作の陵辱 [ ボンクラ360魂 ]

 

原画展の第2弾、電子書籍でも読める単行本の完全版を期待したいのと、このたびのマカロニ原画展、本作の素晴らしさをいつまでも記録に残したくて、ブログを書いた。自分やみんなの心の中に、いつまでも「マカロニほうれん荘」がありますように。