Read me 激情

しがないゲーオタ女子の真・闇ブログ

何者かになれなかった自分へ。前編:続・90年代語り

激務に追われてオタオタしてたら、あと数分で12月だよー! 今月分の更新にギリギリ間に合った。つーか間に合わせられるよう、記事を調整して前後編の2本立てにした。続きは来月の自分が書く。がんばれ!


先日、友人にオススメされて、Netflix映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」を見てみた。

www.bokutachiha.jp

とてもよかった。カテゴリは違えど、自分もまったく同時期の95年に、主人公・佐藤たちと同じようなマンションのテナント一室で、Macを使ったDTPの制作現場で、徹夜でがむしゃらに働きながら、サブカルチャーにまみれて生きてきたため、共感しまくりだった。仕事が増えるにつれて、職場も広くなり、ブルーのポリタンク型Power Mac G3がG4に進化していくさまも、自分のMac遍歴を見ているようだった。Netflix制作ドラマ「全裸監督」では時代舞台の再現が素晴らしかったが、本作もどのように再現したのか分からないほど自然だった。「全裸監督」で伊藤沙莉ナチュラルな演技が気に入ってファンになり、ここでも体を張った演技でますます好きな俳優になった。

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3ヶ月前に書いたエントリ。まさかここにきて再び、プレイバック90年代の機運がたまたま訪れるとは、予想外だった。前回はごく個人的体験語りのみで完結したが、映画を見ているうちに刺激されて、あの頃はどの場所で、何に夢中で、どんな仲間たちがいて、どんな自分になりたかったのか、少しずつ別の記憶が蘇ってきた。
25年近く、引き出しの奥にしまいこんで、敢えて目を背けていた、いつまでも剥がさないカサブタのような過去にケリをつけて未来に生きるために、映画の感想を交えつつ、いま一度改めて振り返ってみたくなったから、少々長くなるが、読んでも何も得られない当ブログに寄るような暇がある人は、どうかまたお付き合い願いたい。

90年代。サブカルと、オネエさまに憧れて

macgirl360.hatenablog.com

以前にも古いスナップ写真を見ながら90~00年代を振り返っていたが、実はつい先日、実家で小5甥が「じいじが昔飼ってた闘犬の写真が見たい」と言い出し、家族総出で昔のアルバムを引っ張り出して捜索していたら、家族写真の中に幼少期から成人後の昔の自分が何枚か写っていて、とても懐かしくなった。闘犬と父の写真は結局見つからずじまいだったが、期せずしてよい発掘ができたので、ひとつ紹介する。

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顔はまたもやMiiで加工。だいたいこんな感じのトガッた髪型とメイク。1997年、夏に実家で3歳の姪っ子1号と花火していた写真。

早稲田のオタク系編集プロダクションに入社して3年目くらいで、サブカル同僚の影響ですっかり社会人デビューを果たしていた。STUSSY SISTAのTシャツと派手なスウォッチは、前年に家族とのグアム旅行で買ったような。この頃はとにかく、オシャレと本、音楽CDに金と時間を注ぎ込んでいた。

主人公・佐藤と犬キャラ・かおりはバイト情報誌「デイリーan」の文通コーナーを通じて知り合っていたが、自分も高校時代に氷室京介が好きだった頃、ぴあの音楽情報誌「pmc」(ぴあミュージックコンプレックス)の文通コーナーに投稿が乗って、全国のヒムロックファン数名から手紙が来て文通していた経験があり、あのポストを開けると手紙が入っている喜びに、痛く共感した。実家の倉庫を探せばヒムロックグッズと共に手紙が眠っているかもしれないが、開けるのにはまだ勇気がいるかも。
時代がもうちょい後だと、個人告知情報誌「じゃマール」もあって、仕事で担当した漫画誌で「じゃマール」の友達募集コーナーを基にした文通コーナーを作ったのを覚えている。個人情報保護法が当然な現代じゃ絶対にありえないコーナーが、2000年初期まではフツーにあったんだよね……。

open.spotify.com

DOOPEES(ドゥーピーズ)のアルバム「DOOPEE TIME」。ゲーオタ的にはピピンアットマークのCM曲として有名かも。映画で渋谷のタワレコ前にこのアルバム広告が出ていて、甘酸っぱくなった。何度も何度も聴いていた、大好きなアルバムだったから。かおりの「エルマロいいよねー」のセリフにも打ちのめされた。劇中ではオザケンがやたらフィーチャーされていたが、当時オザケンはあまり聴いてなかったからさほど感情移入しなかった。かおりが借りたレンタカーで日産のPAO(パオ)が出てきて、なんでそこはトヨタカローラⅡじゃねーんだよ! とツッコみたくなったが、逆にカローラⅡだったらベタすぎて嘘くさくなってしまうから、あえてパオだったのかな。

編プロ入社した直後、社長が仕事終了後、女子デザインチームを渋谷の円山町のクラブに連れて行ってくれた。夜の渋谷はおろか、クラブに行くのも初めてで、目前に広がる煌めく妖しい夜の世界に、ドキドキワクワクしたのを今でも忘れない。その中でも、渋谷ON AIR WESTで月1回開催されていた「デパートメントH」に、とてつもない衝撃を受けた。ゴッホ今泉氏の描くアメコミ調のフライヤー、美しくてカッコいいドラァグクィーンのオネエさまたち、キャットファイト、アングラなパフォーマンス、思い思いの仮装のオーディエンス……あらゆるフェチズムがごちゃまぜの、変態による変態のためのパーティーだった。参加するたび、いつかこんな世界の住人に、本当の自分になってみたいと願った。しかし自分の殻を破る覚悟もセンスも到底持ち合わせておらず、ただひたすらステージの奥から指をくわえて眺めるだけで終わってしまった。

tripnote.jp

現在は鶯谷東京キネマ倶楽部で続いてるようだ。出演メンバーも殆ど変わっておらず、25年経ってもずっとブレていない。ひたすらカッコいい、今でも憧れる、きらめきの世界だ。

 

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https://www.instagram.com/pierre_pierreetgilles/

フランスのゲイアーティスト・ユニット、Pierre et Gilles(ピエール・エ・ジル)。90年代洋楽のジャケットアートでよく見かけて、宗教画のような神秘的で美しい写真に魅せられ、かといって高価な画集は買えないので、パルコブックセンターあたりで買った比較的安価なTaschen社のポストカード作品集を穴が空くほど眺めた。いまはインスタで新旧作品が拝める。いい時代になった……。

allabout.co.jp

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Mikado(ミカド)の「La Fille Du Soleil」も好きでよく聴いていた。ピエール&ジル節が炸裂するトリップなPV。フレンチなものに憧れ族だった。

 

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アメリカのポルノ・アーティスト、Annie Sprinkle(アニー・スプリンクル)の書籍、「アニー・スプリンクルの愛のバイブレーション」(1995年/河出書房新社)。表紙のおっぱいバレエアートに衝撃を受けて買ったような。彼女の自由奔放な生き方、性の解放について、いろいろ学ばせてもらった。

アニーの近影。もう67歳なのかー。相変わらずお美しい。恰幅がよくなり、ますます魅力的なオネエさまに。


こうしてざっと挙げると、90年代は自分が持ち合わせていない性癖……ゲイカルチャーやSMっぽいもの、ビザールアートへの憧れが、密かにあったのかもしれない。ここ近年、マイノリティーにとって生きづらい話題が尽きないが、たとえ見た目や文化や信仰、生き方が違っていても、受け容れてくれる世界もあり、そのままでもよい、ありのままの自分でいてもよい場所が、生きる道標は必ずどこかにあると信じている。90年代に好きだったカルチャー、そして人々は、これからも自分にとって綺羅星のような憧れであり続けていてほしい。

編プロ在籍中、早稲田から神保町へ社屋引っ越しがあり、どちらも想い出深い場所になったが、早稲田はこれといった目的地がないため、退職後はあまり再来できてないかも。泊まり続きで家に帰れず着替えに困った社員御用達の激安服店、USバンバンも、加藤礼次朗先生の実家のそば屋三朝庵も、あの頃あったお店はもう無くなってしまった……。神保町は古本屋やメシ屋目的で、時々通っていて、社屋だった場所も覗いたりすると、別のテナント企業が入っていた。

編プロには5年ほど在籍したのち、社内のゴタゴタと仕事の行き詰まりが重なり退職。2001年、縁あって広告デザイン会社に転職した……といったところで、前編はおしまい。続きは後編にて。