昨晩、PCに向かってブログを書くのが億劫だったので、寝っ転がりながらはてなブログiOS版アプリで記事をしたためていたら、ある程度書いたところで下書き保存しようと画面をちょっとスクロールをした途端、全文がっつり消える痛恨のミスを冒してしまい、布団の中で2時間ほど悶絶していた……1.5時間が、1000字以上が真っ白に~! せっかくいい感じ筆が乗って(筆なんてないのに)まとまってたのになー。がっくし。iOS版も下書きの自動保存機能付けてほしいよー。
あ、でも携帯キャプの写真アップだけは成功してたみたい。それと、一晩明けてみて、出力はできなかったが頭の中を整理してみたら、書くべき本質が見えてきたので、ただの書き直しでなく、書ききったもの以外の要点だけ述べることにした。
『Florence』。先日、このゲームを予約購入した。有料ゲームアプリを予約購入したのは初めてだった。ゲームニュースサイトの記事で、まずこのシンプルな線の絵柄に一目惚れして、リリースを楽しみにしていた。
2/14、バレンタインデーに配信開始し、お昼休みの1時間ほどで、あっという間にクリアした。ゲームというよりも、インタラクティブ絵本のような……自分の最近のテーマでもある、ゲームを通じて誰かの人生を体験できる作品としても、2018年、いまこの時代を生きる誰かの、どこにでもあるかもしれない、とあるビターな初恋ストーリーとしても、最高だと思った。とても良かった。
ストーリーが進むにつれ、あらゆる場面でゲーム的要素が登場するが、選択を間違えたりどのようにプレイしても基本的にスコア概念もなく進行できるので、感情の趣くままに操作をしてゆけるのもよい。
本作で特に感心したポイントは、主人公フローレンス・ヨーと恋人のチェリスト、クリシュの会話の吹き出し=会話の組み立てが、出会った当初は形も複雑で数の多いピースだったのが、ふたりの距離が縮まるにつれて、次第に単純化してピース数も減ってゆくさまを表現している、言葉のコミュニケーションをパズルゲーム化したところだ。恋人とケンカになると、4枚目の画面のように吹き出しパズルの形も刺々しく変化する。たとえば漫画で、キツい言葉の吹き出しがキャラの胸にグサリと刺さる表現のような、言葉が刺さるとか言葉にトゲがあるとはよく言ったもので、言語を一切使わず、それらの形容を見事にゲームにしたのだ。
食事シーンもなんだか楽しげ。主人公は寿司が好みらしい。パンとピザの耳を残しちゃうのが気になる。美味しいのに! あと、出会った頃よりもフローレンスの髪の毛が少しずつ伸びていくのも、時間の経過が分かっていい。自分もいまちょうど昨年から髪を伸ばしていて、ショートボブだった髪が鎖骨あたりまで届いたので、すごく理解できる。
出会ったふたりが、果たしてどのような展開になり、結末を迎えるのか……これ以上書くとうっかりネタバレになりそうだし、せっかくこれから素晴らしい体験を控えているかもしれない人たちにとても申し訳ないので、以下、つれづれなるままプレイ後の個人的所感に替えさせていただく。
『Florence』のメインビジュアルを一目見て、実際にプレイしてみて、昔読んだ絵本のことを思い出していた。
- 作者: シェル・シルヴァスタイン,Shel Silverstein,ほんだきんいちろう
- 出版社/メーカー: 篠崎書林
- 発売日: 1976/01/01
- メディア: 単行本
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- 作者: シェル・シルヴァスタイン,Shel Silverstein,倉橋由美子
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シェル・シルヴァスタインの絵本たち。若い頃好きだったアーティストが勧めていた絵本作家だ。「おおきな木」は村上春樹翻訳でないほうの版を持ってたはずだが、実家に置きっぱなしだったかも……今度探してみよう。
『Florence』の絵柄が、シェル・シルヴァスタインの描くシンプルな線に似ているなぁ、と久々に思い出せたのだ。ゲームプレイ後、「おおきな木」の根底のテーマにも通じる何かを感じてみたりした。
思えばこれらの絵本は、かつて大好きで影響を受けた対象が、自分に与えてくれた作品だった。今はすでにもう、あの頃の熱は冷めてしまったが、時々こんなふとしたきっかけで思い出せるような、自分の中にしまってある大事なものだけは残してくれた。
ゲームの話からさらに脱線するが、ごく最近、同じく昔好きだったものを思い出し、再び手にする機会があった。
山本貴嗣の「弾(アモウ)」(全5巻)。20年ほど前、作者のファンだった親友が勧めて貸してくれて、痛々しくもアクション全開で闘うセクシーヒロインに、自分もすっかり夢中になった。単行本版は巻の途中で読みかけで、少し前にKindle版で全巻買ってたのを思い出し、再読してみたらやはり面白かった。しかし、以前単行本版で読んだときのあとがきが、なぜか省略されていた。たしか主人公の弾のモデルにした女性編集者をデッサンした時のスケッチが載ってたはずだが……? と、あとがきネタで、さらに記憶の糸をたぐり寄せられたのが、同作者の「夢の掟」(全2巻)。
こちらは原作付き漫画だが、作者の強いこだわりであるアクションがハードボイルドに描かれていて面白かった。本作も親友から借りて読んだのだが、最終巻がいつまでも忘れられない内容だったのを、「弾(アモウ)」のあとがき未収録ネタを通じて、突如思い出したのだ。本編も読み直したかったが、どうやらKindle版や電子版は出ておらず、しかしあの最終巻をどうしても読みたくなり、ネット通販で探しまくって単行本版を取り寄せてしまった。
「夢の掟」最終巻あとがき。連載終了後に長年共にした愛猫を亡くした作者の悲しみが、終始綴られていた。本作について一切語られていないあとがきを生まれて初めて読んで、当時とても衝撃を受けた。この漫画、あとがきがすごいんだよ、と言って親友も貸してくれたのを覚えていた。
思い出の漫画、そしてあとがきを久々に読み直し、作者の悲哀を再び噛みしめていた。もし自分も同じ立場であったら、きっと同じように、本編そっちのけで愛するものへのメッセージを書いていたと思う。
漫画を貸してくれた親友も、時々どこかで近況を見かけるが、お互い直に会うことはなく、すっかり距離が遠くなってしまった。
これからの人生で、いくつこんな機会があるか分からないけど、かつて大好きだった、大切だったあなたたちが私にくれたものは、心のどこかにしまってあり、こうして何かのきっかけで時々は思い出して、引っぱり出してみているよ。そしてできれば、私にくれたものが、これからの人生で役に立れられるよう、がんばって生きてみたい。
――とまあ、ごく個人的だが切ないアレコレを、『Florence』は思い出させてくれた。いやはや、たった360円ポッキリで、すごい体験させてくれたよ。ありがたくて、尊い。
そうそう、ゲームだけでなく、劇中音楽もとても素晴らしいので、ぜひサントラも聴いてみてほしい。ちなみにゲーム本編はイヤフォン装着を推奨されてたり。
ところでSpotify、ついに有料プレミアム会員になっちゃった。だってZUNTATA楽曲がついに配信開始しちまったんだぜー。ゲームサントラを浴びるほど聴くなら、ぜひともプレミアム会員になろう!
ひとまず『Florence』については、こんな感じで。ほかにも新年ゲーム初めとばかりにいろいろプレイしてるのだが、追って書くことにしようかな。ああーしかし『Florence』について、誰かと語りたい。誰かまじでやってみてくれー。そして切ない初恋について、涙拭きながら語ろう!