先週9/15木曜、東京ゲームショウ2022に行ってきた。前日に突如、友からご招待の恩恵に預かり、時間を作ってゲストチケットで入場した。2017年以来、5年ぶりの参加。コロナ禍を経て3年ぶりに開催される、大規模リアルイベントの確認でもある。前回レポと比較しながら読み進めるといいかも。
き、きたー。戻ってきたおかえり&ただいま感もある。翌日は午後から一般入場があるとのことで、比較的空いてるビジネスデー初日を選んだが、かなり賑わっていた。結果的には前回2019年の約半分、13万人の総入場者数だったそうだが、さまざまな規制や台風の影響などを乗り越えて4日間でこの人数とは、久しく見ていない大きな数字だ。
入場するなり、ライト付き自撮り棒を持って撮影を始めるユーチューバーなストリーマーがあちこちにいた。まさかゲーム業界の人間がそれやるの……とキョドったが、ゲームメーカーが招待してるのだろうか。一昔前でいうところの、影響力の大きいゲームブロガー招待枠みたいな。Youtubeではユーチューバー系番組はほとんど見てないから、生の配信主ってやつを初めて目前にして、なんだか怖かった。タレント性もオーラの欠片もない普通っぽいひとが、衆人環視の中で芸人のようにいちいちサムいリアクションをしていて、すごい胆力だと感心した。
ゲームの有名人やタレントもいないかなーと見回してたが、やはりマスクしてると認識しにくいのか、なかなか発見できなかったが、屋外フードコートで友と誰も並んでいないピザ屋で注文してたら、後ろに外山雄一さんが並んでいて、ご挨拶できた。レジェンド~! 『QIX』のハデなロゴTを着ていてカッコよかった。昔外山さんがやってたHPのファンでもあるので、静かに興奮した。
大手ブース集。いつもハデハデ&ギラッギラなカプコンブースが、嘘みたいに超シンプルかつ中堅メーカーくらいの質素なブースになっていたのが、軽く衝撃だった。『バイオハザード ヴィレッジ』の展示でサクッとPSVR2が試遊できてしまうことに気づいたり。等身大春麗と撮れるフォトサービスや、『ディノクライシス』ちっくな『エクゾプライマル』の動く恐竜展示に注力してた印象。エクゾプライマル、都会舞台で恐竜狩りゲームとのことで、大手系タイトル中では一番楽しみにしてる。
ラウンジのような試遊台が際立つSteam Deckにも触りたかったが、時間が合わず。展示サンプルを見る限り、デカさがまじリンクス。
SIE、MSのゲームハード両メーカーが不参加で目ぼしさに欠ける点もあるが、大手は例年に比べて、全体的にブースが質素な作りになっていたり、観客を集めたクリエイターやゲストの対面トークイベントのステージも減っているのは、試遊前後に消毒対策もやらなきゃならないコロナの影響を感じつつも、たとえばカタログやタイトル詳細情報をQRコード表示に代替する、メーカーロゴの入ったバッグ配布をしないなど、各メーカーが試行錯誤しながら限られた予算の中で工夫しているような努力も見られた。どのブースもプロモCD-ROMを大量に配りまくってた時代から、だいぶ遠くに来たような。
それと、ここ数年のコンプラの影響もあってか、女性コンパニオンの人数と肌の露出が極端に減っていた。いつもド派手にやらかしちゃうセガの龍如ブースですら、新選組羽織にサラシ巻き女子がいた程度にとどまっていた。代わりにクオリティの高い、けど露出度少なめのコスプレコンパニオンが目立った。
コーエーテクモのライザの等身大フィギュアが、一番露出度が高くエロかったから、カメコがいっぱいいた。生身の露出はNGだけどキャラの立体造形ならいいのか。ライザが3体とも等身が違って変だと思ったら、各シリーズのライザのボディ成長を現してたようだ。正直、ライザの太もも肉の段差しか目に入らんかった。
気になったブース集。よもやニトリがゲームショウに出展する日が来るとは、周辺機器メーカーの販路が拓かれた感じ。大がかりなVR装置の試遊は、傍から見ると一体何をしているのかさっぱり不明だった。かつての少年おじさん世代たちが、瑞起のX68000Zのモック展示に熱視線を送っていた。新鋭レーベルなのにいきなりメジャー感が強い集英社ゲームズや、英語が分からず体験版ではイマイチな印象だった『Sable』の日本語版が出るようで注目している。サンソフトは待望の新作『いっき団結』で全世界に挑戦する、その心意気やよし。
インディーズと海外コーナーでは、来日不可ブースがいくつかあり、寂しくなった。友とインディーズコーナーを歩いていて「インディーズコーナーにだけ唯一、生身の人間がいて、人間の活気を感じられる」と言ったら、「ここだけ生身の人間の貧困街で、それ以外は銀河鉄道999の機械帝国か!」と突っ込まれた。メジャーコーナーは人間っぽくなくて、インディーズコーナーは人間っぽかったのは率直な感情で、実際にインディーズコーナーはクリエイターとプレイヤーの距離が近く、野心と活気があふれてとてもよい雰囲気だった。あらゆる国の人間が入り交じる雑多な空間は、ある意味スラム街と似ているのかもしれない。スラムから成り上がっていき、すぐ隣のパブリッシャー(PLAYIZM)入りして……いつかはメジャーブースへ! みたいな人間臭いゲームドリーム。
遊んだゲーム集。手癖でついシューティングばっかり選んじゃう。『鋼鉄帝国』と『キャノンダンサー』移植にも驚いた。一番注目の『ラジルギ2』は試遊台周りがずっと混んでいて時間切れでプレイできなかったが、タダヨちゃんとお話して写真撮れたよ。かわいいー。目の表情が読み取れない丸メガネの再現性が素晴らしい。自分も昔イベントでタダヨちゃんのコスプレをやっていたから、懐かしかった。キャラの声優を募集したりと、STGシーンを盛り上げていく意欲も感じられるし、これからの動きにも期待したい。
今回のタダヨちゃんコスは、ウィッグのカットや衣装のリメイクから担当させて頂きました!自分的には色々反省点はあるのですが、キャラクターデザインの方に直接「完成度が高い!」とお褒めの言葉を頂けて嬉しかったです😭🙏
— 相川なつ@9/21〜9/25舞台セブンスプレイ (@aikawanatsu) 2022年9月15日
明日もこちらにいます!✨#TGS2022 #ラジルギ2 pic.twitter.com/INmI1i4Yib
記念撮影ラッシュから抜けてほんの一瞬、独りで虚無ってたボンバーマン。虚無がやけに似合う。
TGSの歴史コーナー。2011年の株価を見てビビる。最高値75円って! 震災のあった年だからか……。各年表を見ながら、この年は何してたっけ、どうだったっけー、など友とあーだこーだ言いながら、それぞれの過去を振り返るのが楽しかった。
こんな振り返り記事もあった。やっぱり個人的には編プロ時代に同僚たちと初めて行った、ヘンなマスコットキャラがいる1998-99年のTGS(2001年まで春秋2回開催)がもっとも印象深い。お土産にコンパイル物販でぷよまん、ナムコ物販で鉄拳ドリンク、なんでんかんでん海苔入り鉄拳カップ麺、何かの基板が付いた名刺入れ(後でナムコの人に詳細を聞いたら「そんなの知らない。非公式グッズかも?」と言われた。今でも愛用している)を買った思い出。2006年のTGSも、ゲーム編集部全員でプレスで行って入場待ち中にDSでピクトチャットをしたり、公式HP用にレポート動画配信企画をやったり、いろんな懐かしい思い出がある。編集部メンバーから「幕張でメシを食ったら負けかなって思ってる」なんて言葉も出てきたが、あれからフェス飯はだいぶ進化して以前よりは美味しくなったと思うし、屋外フードコートのピザ屋も美味いのに空いててよかったよ?
今回、もっとも驚いた展示。なんと、専門学校コーナーに母校のデザイン専門学校が出展していた。具体的な校名表記はあえて避けるが、自分が在校時にはほんの2、3学科しかなかった母校が、まさか卒業後25年以上を経てゲーム制作学部まで新設していたとは……! チラシ配布していた生徒さんに思わず「私、ここの卒業生なんです!(生徒さんが生まれるずっと前の)」と声をかけてしまった。すると生徒さんが、副校長を紹介してくれた。校長は自分の在校時からずっと変わっておらず、校長の息子さん(自分と同世代くらい)が副校長をしているとのことだった。在校時のエピソードや卒業後のキャリアなど、いろいろとお話させてもらった。
以前のエントリでも触れたが、自分は95年に編プロ入社した際、心ない社内いじめで仕事を辞めそうになっていた時、別部署のDTPデザイン課へ異動させられて、当時まだ黎明期だったMac DTPを現場で覚え、現在に至るまでデザイナーを続けている。異動のきっかけとして、実はそれ以前に「卒業制作に使えるかも?」という理由で、母校でパソコン室のMac DTPデザインゼミ講習を選択、経験していたのが大きかった。
ゼミではQuadraを使い、QuarkXpressで文字を入力して組んだり、イラレで文字や図形を作った程度だが、この母校での経験が、部署異動の際にとても役立った。同期入社組の中でも唯一、入社前にMacのDTPを経験している《強み》が、自分の武器となった。この偶然の機会に、母校の副校長へ、あの時母校でのゼミ経験のおかげで、20数年経った現在でもデザイナーとして食べていけて、今の自分を形成してくれたことを、改めて深い感謝を述べることができた。
卒業後、母校とは同級生たちと卒展に数回行って以来ご無沙汰していたが、卒業直後にイラストレーション科が新設されたり、講師に有名アニメーターを呼んだりして、「ホントは自分が在校中にやりたかったオタク系クリエイター科ができてズルい……!」と後輩学生たちがじつに羨ましかった。その今さらなやりきれぬ思いを副校長にぶつけたら、「やっぱり時代のニーズに合わせて、新ジャンルのデザイン学科を作っていかないとですよね。学科は増えて軟派になりましたが、校名は硬派のままですよ!」と返ってきた。それを聞いて、そういえば自分は高校で進路を決める際に「学校名が横文字カタカナは地雷説」を信じて、硬派っぽい校名の母校を選んだんだよな……と思い出した。帰宅後に生徒たちの作品動画や母校HPを見てみたら、プロ顔負けの作品を作っていたり、人気アニメとコラボしたり……いやはや、あんなに硬派だった母校が……と卒業生は目を細めるのでした。
気になる催し集。TGSのついでに来年新卒内定者の懇親会&社長講話ってすげー。会場視察終了後は、友と東京ベイ幕張のカフェでお茶して帰った。会場から少し距離はあるが、TGS関係者もあまりおらず、ゆったり座ってトークできてよかった。幕張のイベント来場時はここが穴場かも。アルコールとノンアルが同じ価格帯で、このあと何もなけりゃアルコールを選択したいところを我慢した。
会場を見回していると、とにかく若者が多い印象だった。自分たちもまだまだ現役ではあるが、制作側も受け手のターゲット層も、気づけば若者世代がシェアを占めている。一方で、自分たち世代向けの懐かし復刻コンテンツも盛んで、令和のいまは、昭和~平成と時を経て、競合や切磋琢磨を続け、文化が熟成されてきたおかげで、どんな世代でも、古いもの/新しいものを両方同時に楽しめる、とても豊かな時代だと感じられる。
いつだって時代の主役は若者で、若者が時代を創って切り拓き、アラフィフ真っ只中の自分たちだって、昔は若者だったワケで……つまり、若い後輩たちが夢に向かって頑張っていたり、コンテンツを楽しんでいるのを見て、とても感激したのだ。だからなおさら若い人を、もっと大切にしたいと感じた。ただでさえ少子化が深刻で、団塊ジュニア世代に較べたら若者世代は人口的にだいぶ少ないのだ。
この2~3年、コロナ禍でゲーム業界に入った若い新入社員は、自分の生まれる前~幼少期の、過去のバブリーなTGSの盛況も知らないだろうし、自分たちの仕事がPRされているのを初めて目の当たりにする、社会人初のリアルイベントになったかもしれない。それだけでも、TGSが3年ぶりに開催された大きな意義があったのではないか。
老眼が始まり、反射神経も感性も記憶もいよいよ鈍りつつある、中年の中年による中年のための回顧は、中年にやさしくありがたい懐古ビジネスとして細々やっていくとして、どうか若者たちには、新しくて面白くて楽しいゲームの世界を、思う存分のびのびと、自由に創っていってほしいとつよく願う。かつての若者=いまの中年が、四半世紀前にそうしてきたように。
もちろん中年も、中年の変な体に鞭打って感性と体を鍛えて磨いて、若者に負けんよう若作りにも努めていただきたい次第だが、チープなプライドと権力を振りかざして若者を萎縮させるのだけは勘弁してほしい。かつて自分ら若者が、大人たちにそうされてイヤな思いしたように。
10年後くらいの懸念として、60年代後半~70年代前半生まれのビデオゲーム原体験世代がいよいよ還暦突入してくるので、老人でも楽しめるゲームの需要と供給が成立してるといい。となると、どこか水面下でぼちぼち準備してる頃かな。メタバースだのブロックチェーンだのカッコいいことばかり言っても、もう棺桶に片足突っ込んでるのよ。
いまの老人=団塊世代は健康寿命を半強制的に意識させられてるのもあり、長寿かつ無駄に健康で、人生の大先輩な彼らを見習うとしたら、金銭的・精神的・肉体的の三大余裕のバランス感覚かなー。自分ら世代があと10-20年後もお達者クラブでいられるか、ゲームをやれてるかどうか。未来のゲームは見届けたいから、元気で長生きしたいな。
まー人生いろいろあるけど、これからも、やっていこうぜ。
物販ブースは半分ほどしか回れなかったが、誕生日の近い家族へお土産プレゼント、『ギミック!(Mr.Gimmick!)』のTシャツ。前回2017年もエメラルドグリーンのTシャツを買ってたような。どうやら一番人気の限定カラーリングらしく、在庫ラス1だった。ファミコン版は音楽が最高でかなりクセつよ&難度高いけど、今度復活するらしい『ギミック!』も楽しみにしている。
最後に。招待をもらった友の担当ブースにお邪魔したら、転職後、すっかりえらくなって現場を取り仕切りあくせく働いている友の立派な姿に、心の目頭が熱くなったよ。ありがとう、お疲れ様でした。急で驚いたけど、久々に会えてじっくり話もできて、TGSへ来られて、嬉しかったよ。またゲスト枠に余裕があったら、会いに行くから、いつでも誘ってくださいな。